腰痛の原因は筋肉にあった?多裂筋・体幹筋の変化と再発予防のポイント

こんにちは!

パーソナルトレーナーの井上裕司です。

このブログは、パーソナルトレーナー・医療従事者・専門的に学びたい方を対象とした内容を発信しています。

腰痛に悩まされている方や、過去に腰痛を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。実は腰痛と筋肉の変化には密接な関係があることが、CTやMRIなどの画像診断から明らかになってきています。

本記事では、腰痛と筋肉(特に腰部多裂筋や脊柱起立筋、大殿筋など)との関係について、最新の研究をもとにわかりやすく解説します。

腰痛患者の筋肉には「量」と「質」の変化が起きている

腰痛のある人では、CTやMRI画像で腰部多裂筋の断面積が減少していることが確認されています。また、筋肉の中に脂肪が入り込み、筋の実質(筋繊維の密度)が減少している「筋質の低下」も報告されています。

つまり、腰痛患者の筋肉には量的な変化(筋肉が小さくなる)だけでなく、質的な変化(筋肉の性能が落ちる)も起きているのです。

他の筋肉への影響:腰方形筋・大殿筋も変化する?

腰部多裂筋だけでなく、腰方形筋や大殿筋といった他の腰背部や下肢の筋肉にも変化が見られます。

腰痛患者では、腰方形筋や大殿筋の断面積が減少しているという報告がある一方で、

一部の研究では、大殿筋には健常者との有意な違いが見られなかったという報告もあります。

このように、筋肉の変化は個人差があり、すべての筋に同様の変化が起きるわけではありません。

腰痛が長引くと筋萎縮が進む?

1年以上慢性的に腰痛が続いている人では、腰痛が6ヶ月以内に改善した人と比べて、脊柱起立筋の断面積が明らかに減少していることが報告されています。

このことから、腰痛の持続期間と筋萎縮の程度には関連性がある可能性が示唆されています。

筋活動にも変化が:深層筋は減少し、表層筋が代償的に働く?

腰痛患者の体幹筋の活動パターンには以下のような特徴があります。

・腰部多裂筋などの深層筋の筋活動量が減少

・外腹斜筋、腹直筋、脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングスなど表層筋の活動量が増加

これらの変化は、筋スパズム(筋肉の緊張)や、痛みを回避するための防御的な筋活動によるものと考えられています。

また、深層筋の機能低下により腰椎の安定性が低下し、それを補うために表層筋が過剰に働く(代償)という見方もあります。

腰痛が治っても筋の使い方は変わったまま?

興味深いことに、過去に腰痛があったが現在は痛みがない人(腰痛既往者)でも、筋活動のパターンに変化が残っていることが分かっています。

具体的な変化として:

・上肢挙上動作中に腰部多裂筋の活動量が減少し、活動開始のタイミングが遅れる

・四つ這いで手足を挙げる運動中に、広背筋や胸部脊柱起立筋の活動量が増加

このように、過去の腰痛による「誤学習」がその後も残り、筋バランスの乱れや再発リスクにつながる可能性があります。

今後の課題:腰椎の動きと筋活動の関係を詳細に分析する必要がある

腰痛既往者においても、腰部多裂筋や腹横筋といった深層筋の活動量の低下や活動開始の遅れが確認されており、腰椎の安定性低下と再発リスクが懸念されます。

今後は、腰痛既往者における動作時の腰椎の運動特性や筋活動パターンを詳細に分析し、再発予防に役立てることが重要です。

まとめ:腰痛と筋肉の深い関係を理解し、予防と再発防止へ

腰痛は「痛み」という感覚だけでなく、筋肉の構造や機能の変化を伴います。特に、深層筋と表層筋のバランスの乱れが腰椎の安定性に大きく影響します。

腰痛がある方だけでなく、過去に腰痛を経験した方も、正しい運動習慣や筋活動の改善トレーニングによって再発を防ぐことができます。

※本記事は、NSCA-CPT(全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)の資格を有する講師によって、科学的根拠と実務経験に基づいて執筆されています。

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