ロイシン=筋肥大は本当?mTORとの関係と単独摂取のリスク

生理学
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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

~BCAAのバランスと筋合成・持久力の関係~

プロテインやアミノ酸サプリメントの中でも、特に注目されるアミノ酸の一つがロイシンです。

ロイシンは、BCAA(分岐鎖アミノ酸)の一つで、以下のような効果で知られています:

・筋合成のスイッチを入れる

・mTOR(エムトアール)という重要なシグナル伝達経路を活性化する

・筋肉への糖質取り込みを促進する

これだけ聞くと、「ロイシンさえ摂れば筋肉がつくのでは?」と考えたくなりますよね。
しかし実際は、そう単純ではありません。

ロイシンは“筋合成のスイッチ”

ロイシンは、筋肉合成の主要な経路であるmTOR(ママリアンターゲットオブラパマイシン)を活性化するとされています。

このmTORは、筋トレなどの無酸素運動だけでなく、有酸素運動によっても活性化されることが分かっています。

つまり、「筋トレをしていない=筋肥大は起きない」とは一概に言えず、軽めの有酸素運動でも、ある程度の筋合成は起きている可能性があるのです。

とはいえ、フルマラソンのような持久系スポーツ選手の身体を見れば分かる通り、有酸素運動だけで大きな筋肥大は起こりにくいことも事実です。

ロイシンはミトコンドリアにも影響する?

近年の研究では、mTORが関わるのは筋肉の合成だけではなく、ミトコンドリアの合成にも関与している可能性が指摘されています。

ミトコンドリアは「エネルギーの工場」のような存在。
その数が増えることで、持久力の向上につながると考えられています。

この視点から見ると、ロイシンの摂取は筋肉の成長だけでなく、スタミナや運動耐性の向上にもプラスに働く可能性があるわけです。

それでもロイシン単独摂取はNGな理由

ここで大切なのは、ロイシン“だけ”を大量に摂ることは逆効果になる可能性があるという点です。

ロイシン・イソロイシン・バリンは、どれも途中から同じ代謝経路(BCAA分解経路)を通って代謝されます。

そのため、ロイシンだけを大量に摂取すると、その代謝経路全体が加速され、結果として他のBCAA(バリン・イソロイシン)が相対的に減ってしまうリスクがあるのです。

実際の研究では、ロイシン単独摂取により、他のアミノ酸濃度が低下することが確認されています。

運動と栄養はセットで考える

そして何より大事なのは、運動なしに筋肉が増えることはないという点。

ロイシンを摂ることでmTORが活性化されたとしても、それはあくまで「刺激があってこそ意味があるスイッチ」です。

・筋トレなどの物理的刺激

・食事からの適切なたんぱく質摂取(バランスの取れたアミノ酸)

この両方があってこそ、ロイシンの持つ本来の力が活かされるのです。

結論|ロイシンは重要、でも単独摂取は慎重に

ロイシンは筋合成やエネルギー代謝において、非常に重要な役割を持っています。
しかし、「ロイシンだけ摂ればOK」ではありません。

・BCAA全体のバランス

・他の必須アミノ酸との相互作用

・運動という刺激との組み合わせ

これらが揃ってはじめて、最大の効果が得られるということを、ぜひ覚えておいてください。

※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
正しい知識をわかりやすく発信中。

保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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