リン酸による筋収縮への阻害効果とは?
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
無機リン酸
運動している時。あるいは運動が終わった時。
疲労を感じていることがあると思います。
この疲労というのは原因が一つというわけではありません。
よく乳酸が疲労と関係しているかと疑われいましたが、疲労を起こす要因として考えられるのが、無機リン酸です。
まずエネルギーを生み出すのにATPが必要になります。
このATPというのは、アデノシンという物質とリン酸が3つくっついているもので、このATPが分解されてエネルギーが発生します。
分解されるときに、ADP(アデノシン+リン酸が2つ)とリン酸に分かれるのですが、強度の高い運動をするとリン酸が大量に蓄積されることになるのです。
クレアチンリン酸が分解され、クレアチンとリン酸に分かれ、このリン酸がADPと再合成をし、再びATPができあがるのですが、運動によりさらにまた多くのリン酸が蓄積されます。
このリン酸はカルシウムと結合しやすいという特徴があります。
このカルシウムというのは、筋原線維の周りにある筋小胞体に貯められています。
この筋小胞体からカルシウムが出ることで筋収縮ができるのです。
カルシウムは筋収縮には必要不可欠な栄養素なのですが、運動でリン酸が多くできると、カルシウムとリン酸が結合してしまいます。
このことから、筋収縮に必要なカルシウムが役割を果たせなくなるので、これが疲労の原因として関係があるのではないであろうか?
※活性酸素の蓄積も、カルシウムを筋小胞体に戻す働きを阻害
ただし、運動後にリン酸が多くできたとしてもクレアチンリン酸が運動後数分で再合成されますので、このタイミングで蓄積されていたリン酸が減ってきます。
このことから考えられるのが、リン酸は急性な疲労に関係してはいるが、運動が終了した後の疲労とは関係しないということです。