運動強度と糖質・脂質の利用の割合の変化
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
無酸素性作業閾値を基準に糖質と脂質の利用を考える
実際に気になると思います。
安静時、いわゆる何にもしていない時というのは、何を使ってエネルギーを生み出しているのか?
生理学を勉強している人であれば、主に糖質と脂質と答えると思います。
ここで気になるのが、どのくらいの割合で糖質と脂質を使っているのか?
糖質の方が割合的に多いのか?脂質の方が多いのか?疑問に思うときはないだろうか?
結論から言うと、安静時には、糖質:脂質は1:2程度の割合になります。
これはびっくりする人もいるのではないでしょうか?
安静にしている時は脂肪の利用の方が多い。一般の方はなかなかイメージができないと思います。
間違ってはいけないのがここで言っているのは割合のお話です。安静時のほうが脂肪は燃える!というお話ではありません。
では運動強度が上がると糖質と脂質の利用はどのように変化していくのでしょうか?
もちろん運動強度が上がれば、エネルギー消費量も上がっていく。
安静時には、糖質:脂質は1:2の割合でしたが、
ここから運動強度(有酸素運動レベル)が上がっていくと糖質の利用が増えていきます。
ただしこの時点の強度では、脂質の利用が減るという話ではありません。あくまで糖質の量や割合が増えるというお話で、脂質の量自体も増えているのです。
ではさらに運動強度(無酸素運動レベル)が上がってくるどうなるのでしょう?
糖質の利用が更に上がってきますが、脂質の利用が低下していきます。
一般的には80%VO²max程度の強度では、糖質:脂質が2:1の割合になりますので、
強度の上昇から急に脂質の利用が大きく低下するのです。
この糖質の利用が急激に高くなり、脂質の利用が低下するポイントのことを
無酸素性作業閾値といいます。
無酸素性作業閾値より低い運動強度で運動することを有酸素運動。
無酸素性作業閾値より高い運動強度で運動することを無酸素運動。
こういう風に一般的には分けられているのです。
脂質の利用が低下する理由とは?
ではこのように運動強度が上がると、なぜ糖質の利用が高まり脂質の利用が低下するのでしょうか?
いろんな可能性があるので考察はできるのですが、正直分かりません💦
あそらくですが、いろんな要因が関係していて、1つの原因だけで起きていることではないと思うからです。
まず脂質利用の低下に関して考えられるのは、強度が上がることによって、脂肪組織への血液量が低下してしまうこと。
それによって脂肪分解が低下して、血中遊離脂肪酸濃度が低下し、それで脂質利用が低下するということ。
他にもいろいろ考えられる点はあるとは思いますが、運動強度が上がった際の脂質利用低下は今のところ説明できません。