「糖質は太る」「脂肪は悪」って本当?科学的にわかる栄養の真実と健康のコツ

生理学
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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

糖も脂も「悪者」にされがちだけど…

「糖質は太る原因」「体脂肪はなるべくゼロに」。
ダイエットや健康を意識するほど、糖質と脂質に対して「悪いもの」というイメージを抱きがちです。

しかし、糖質も脂質も、私たちの生命活動を支える超重要なエネルギー源です。
問題なのは「存在」そのものではなく、「摂りすぎ(バランスの乱れ)」にあります。

今回は、糖質が体に与える意外な影響や、脂肪が持つ驚きの役割、そして「脂肪1kg=7,200kcal」の根拠など、科学的な視点からその正体を解き明かしていきます。

◆ 糖質の“ベタベタ”が体を傷つける?

炊いたお米の粘りや、ジュースのベタつき。糖質の持つ「粘着性」は、体内でも特殊な反応を引き起こします。これが「糖化(とうか)」と呼ばれる現象です。

糖質は、体内の「たんぱく質」と非常にくっつきやすい性質を持っています。
血液中の糖(血糖)が増えすぎると、血管や内臓を構成するたんぱく質と結合し、その機能を奪ってしまうのです。

  • 血管へのダメージ: 血管(たんぱく質)が糖でベタつくと、柔軟性が失われ、高血圧や動脈硬化の原因に。
  • 合併症のリスク: 腎臓や網膜の細い血管が傷つくことで、糖尿病特有の恐ろしい合併症につながります。

糖質は脳や筋肉の「最速の燃料」ですが、「血液中に溢れさせない(適量を保つ)」ことが、健康を守る絶対条件なのです。

◆ 脂肪は“悪”か? ── 実は生存に不可欠な精密マシン

一方、嫌われがちな脂肪(脂質)ですが、実は非常に多機能です。

  1. 鉄壁のバリア: 細胞一つひとつを包む「細胞膜」は脂質でできています。脂質があるからこそ、細胞は水に溶け出さず、形を保てます。
  2. 最強の備蓄燃料: 1gあたり9kcalという高いエネルギー密度を持ち、長期的な生存を支えます。
  3. ホルモン工場: 脂肪細胞はただの貯蔵庫ではありません。食欲を抑える「レプチン」や、血管を掃除する「アディポネクチン」といった重要なホルモンを分泌する、立派な内分泌器官なのです。

◆ なぜ脂肪は「10万キロカロリー」も貯められるのか?

糖質(グリコーゲン)は水分を抱え込む性質があるため重く、体内には約2,000kcal(フルマラソン1回分強)ほどしか貯蔵できません。

対して、脂肪は水に溶けず、コンパクトにエネルギーを凝縮できます。
そのため、一般的な体型の成人でも、10万kcal以上(数ヶ月分のエネルギー)を蓄えることが可能です。この「効率の良さ」こそが、人類が飢餓を生き抜いてこれた進化の証なのです。

◆ 脂肪1kgは、なぜ「9,000kcal」ではないのか?

「脂質は1g=9kcal」なのに、なぜ「脂肪1kgの燃焼=7,200kcal」と言われるのでしょうか?

その理由は、体脂肪組織の約20%が「水分や細胞の構造物」だからです。

  • 純粋な脂質:約800g(800g × 9kcal = 7,200kcal)
  • 水分・細胞膜・血管など:約200g(0kcal)

つまり、脂肪1kgを落とすには、約7,200kcalのマイナスが必要という計算になります。

◆ まとめ:大切なのは「悪者探し」ではなく「バランス」

糖質も脂質も、どちらかが欠ければ体は正常に機能しません。

  • 糖質が多すぎれば、 体が「糖化」してボロボロになる。
  • 脂質が多すぎれば、 肥満を招き、ホルモンバランスが崩れる。

「どちらが悪いか」という議論ではなく、「どちらも適切な役割がある」と理解することが大切です。
適量を摂り、適切に動いて消費する。このシンプルな「バランス」こそが、健康で動ける体を作る唯一の正解なのです。

※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

【引用・参考文献】

  1. Vlassara, H., & Uribarri, J. (2014). “Advanced Glycation End Products (AGEs) and Diabetes: Cause, Effect, or Both?” Current Diabetes Reports, 14(1), 453.
    • 解説: 糖質とたんぱく質が結合する「糖化(AGEs生成)」が糖尿病合併症を引き起こすメカニズムについての詳細な研究。
  2. Kershaw, E. E., & Flier, J. S. (2004). “Adipose Tissue as an Endocrine Organ.” The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 89(6), 2548-2556.
    • 解説: 脂肪組織が単なるエネルギー貯蔵庫ではなく、レプチンなどのホルモンを分泌する内分泌器官であることを論じた重要論文。
  3. National Institute of Health (NIH). “Dietary Guidelines for Americans.”
    • 解説: 糖質・脂質の適切な摂取バランスと、それぞれの生化学的役割に関する公的なガイドライン。
  4. Wishnofsky, M. (1958). “Caloric equivalents of gained or lost weight.” The American Journal of Clinical Nutrition, 6(5), 542-546.
    • 解説: 「脂肪1kg=約7,200kcal(3,500kcal per pound)」という計算の根拠となった、脂肪組織の構成成分(脂質80%、水分等20%)に関する古典的研究。
  5. 八田秀雄 (2011). 『エネルギー代謝を考える』講談社.
    • 解説: 糖質と脂質の貯蔵量の違いや、運動強度による利用率の変化を生理学的に解説した日本人専門家による名著。

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
正しい知識をわかりやすく発信中。

保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・Core&Calm(コアカーム)パーソナルジム経営
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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