こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
糖も脂も「悪者」にされがちだけど…
糖質と脂肪。
ダイエットや健康を意識している人なら、この2つに対して少なからず「悪いもの」というイメージを持っているかもしれません。
「糖質は太る原因」
「脂肪は余分なもの」
「糖質制限こそ最強」
「体脂肪はなるべくゼロに」
…でも、本当にそうなのでしょうか?
実は糖質も脂質も、生命活動を支える超重要なエネルギー源。
「摂りすぎ」が問題なのであって、「存在自体」が悪いわけではありません。
このブログでは、
・糖質とたんぱく質の関係
・脂肪の本来の役割
・脂肪1kg=何キロカロリー?問題
など、糖質・脂質にまつわる誤解を科学的視点からわかりやすく解説します。
「健康的に痩せたい」「正しく体を知りたい」方は、ぜひ最後まで読んでみてください!

◆ 糖質はベタベタする?──その正体を見てみよう
糖質を多く含む食べ物って、ベトベトした印象ありませんか?
例えば、
・炊いたお米を潰すと粘る
・ジュースをこぼすと机がベタベタになる
これが体の中に大量に入ってきたら…と考えると、少し気持ち悪いですよね。
でも、それだけじゃありません。
糖質の“粘着性”は、体にとって困る影響をもたらすことがあるのです。
◆ 糖質はたんぱく質とくっつきやすい
糖質のベトベトする性質は、「たんぱく質と結合しやすい」という特徴につながります。
この結合が過剰に起こると、体内では悪影響になることがあるのです。
▶ 血糖値が高すぎるとどうなる?
通常、血液中のグルコース(血糖)は1ℓあたり約1g。
ごく薄い濃度で保たれています。
しかし、食べすぎや代謝異常でこの数値が上がってしまうと…
血中の糖がたんぱく質と結びつきやすくなってしまうのです。
その影響はとくに血管に表れます。
血管は主にたんぱく質でできているため、そこに糖質がくっつくと、
血管の機能が落ちてしまうのです。
結果として、
・高血圧
・腎機能障害
・網膜症(眼底出血) などの糖尿病合併症
が引き起こされる可能性が高くなります。
さらに、高血糖状態は神経の働きにも悪影響を及ぼします。
◆ 糖質は悪者?…いいえ、“適量”が命!
もちろん、糖質が「すべて悪い」というわけではありません。
・脳のエネルギー源
・運動時に使われる最速の燃料
など、糖質は体にとって欠かせない栄養素です。
だからこそ、体は常に「血糖値を一定に保つ仕組み」を持っています。
ホルモンの力で、増えすぎた糖は減らし、減りすぎたら補う。
この調節がうまくいかなくなるのが、糖尿病です。
◆ 脂肪は“悪”なのか?──実は必要不可欠な存在
一方、「脂肪は溜まる=悪」というイメージも根強いですが、これも誤解です。
脂肪(脂質)には、
・水を通さない(細胞膜を守る)
・高エネルギーを蓄える(9kcal/g)
・ホルモンを分泌(レプチン、アディポネクチン)
といった大切な役割があります。
脂肪は水に溶けないため、体液のバランス(浸透圧)にも影響しません。
そして、脂肪細胞から分泌されるホルモンは、代謝の調整や食欲の制御にも関わっています。
つまり、脂肪も「一定量」は絶対に必要な栄養素なのです。
◆ 糖質と脂肪、それぞれの“貯蔵量”の違い
糖質は体内に約2,000kcal程度しか貯蔵できません。
一方、脂肪はなんと10万kcal以上!
この違いは、脂肪のエネルギー密度(9kcal/g)と、体への貯蔵しやすさ(水に溶けず浸透圧を上げない)によるものです。
脂肪は効率よくエネルギーを貯めるには最適な物質なのですね。
◆ 脂肪1kgって何キロカロリー?
よく「脂肪1kg=7,200kcal」と言われますが、
脂質自体は「1g=9kcal」なので、単純計算なら1kg=9,000kcalのはず。
この差はなぜ生まれるのでしょうか?
答えは、「脂肪=100%脂質」ではないから。
体脂肪には、
・脂肪滴(エネルギー源の脂質)
・水分
・細胞膜
・血管や結合組織
などが含まれています。つまり、脂肪組織全体の中に、純粋な脂質だけでない構造物があるということです。
そのため、
脂肪1kg=7,200kcal(脂肪組織としての一般的な数値)
脂肪1kg=8,000~9,000kcal(文献や条件によって変動)
というように、厳密な数値は一律ではないのが実際のところです。
◆ まとめ:糖質も脂質も「悪」ではない。大切なのは“バランス”
糖質も脂質も、体にとって欠かせない栄養素です。
しかし、どちらも「多すぎること」が問題。
糖質が多すぎれば、たんぱく質と結合して細胞を傷つける
脂質が多すぎれば、体脂肪として蓄積し、生活習慣病のリスクに
糖質も脂質も「悪者扱い」されがちですが、適量であればむしろ重要な役割を担う“味方”なのです。
健康な体づくりには、
摂りすぎず・不足せず・適切に使う。
この“バランス”こそが何より大切です。
※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。
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