こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
「なんだか太りやすくなった…」それ、ホルモンのせいかもしれません
年齢とともに「体重が落ちにくくなった」「筋肉がつきにくい」「疲れやすくなった」と感じていませんか?
実はこれ、**加齢による“ホルモンの変化”**が関係している可能性があります。
特に男性にとって注目すべきホルモンが、テストステロンです。
「男らしさ」に関係するホルモンと思われがちですが、実はそれだけではありません。近年では、テストステロンが「代謝」「筋肉」「メンタル」「糖尿病」などにも深く関わっていることが数多くの研究からわかってきています。
本記事では、
✅ テストステロンの基本的な役割
✅ インスリン感受性や代謝との意外な関係
✅ テストステロンを維持・改善するライフスタイル
について、最新の研究論文やレビューをもとにわかりやすく解説していきます。
「最近なんだか調子が悪いけど、年のせいかな?」と感じている方は、もしかしたらテストステロンが関係しているかもしれません。
ぜひこの機会に、ホルモンと健康のつながりを正しく理解してみませんか?

1. はじめに:テストステロンとは何か?
テストステロンは主に**男性ホルモン(アンドロゲン)**の一種で、筋肉の量や代謝、気分、骨の健康など幅広い働きがあります。加齢や肥満に伴い低下することがあり、「代謝の不調」と深いつながりがあると考えられています(Grossmann, 2014)(PubMed, joe.bioscientifica.com)。
2. テストステロンとインスリン感受性の関係
✅ 低テストステロンはインスリン感受性低下と関連
例えば、60歳前後の男性を対象とした研究では、血中テストステロンとインスリン感受性の間に**正の相関(r=0.4, P < 0.005)**が認められました。低テストステロンの人ほどインスリン抵抗性が高く、代謝症候群のリスクも増加していました(60%が該当)(PubMed)。
他の観察研究でも、「低テストステロン=インスリン抵抗性リスク上昇・2型糖尿病リスク増」という結果が多数報告されています(Grossmann, 2014)(PubMed, PubMed)。
🔄 双方向の悪循環も示唆
テストステロンの低下が肥満やインスリン抵抗性を招き、さらに体脂肪が増えてテストステロンが減る、という悪循環モデルも示唆されています(pmc.ncbi.nlm.nih.gov)。ただし、因果関係そのものはまだ完全には解明されていません(Grossmann, 2014)(joe.bioscientifica.com)。
3. 仕組み:テストステロンがインスリン感受性に関わるメカニズム
- テストステロンは、筋肉や脂肪の細胞で両者の受容体やGLUT4(グルコース輸送体)を増やし、インスリンの働きをサポートする作用が報告されています(Dandona, 2021)(dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com)。
- AMPK(代謝センサー)やミトコンドリア機能の向上にも関与し、筋肉における糖代謝を改善するとされます(Dandona, 2021; Zierath, 2002)(dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com, diabetesjournals.org)。
- さらに、炎症を抑える作用や脂肪分解の促進も働くことで、代謝バランス向上に寄与すると考えられています(dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com, PubMed)。
4. 臨床的な知見:テストステロン療法の効果
- ランダム化比較試験(RCT)では、テストステロン補充療法(TRT)により脂肪量が減り筋量が増えることが報告されています(Grossmann, 2014)(PubMed, PubMed)。
- 一部の研究では、2年間にわたり体重管理プログラム+TRTで、2型糖尿病リスクを40%減少させた結果もあります(T4DM試験)(reddit.com)。
- ただし、必ずしもすべての人に同じ効果が見られるわけではなく、個人差や長期的な安全性についてはさらなる研究が必要です(PubMed, joe.bioscientifica.com)。
5. ライフスタイルとテストステロンの関係
- 減量や筋トレ・良質な睡眠・ストレス管理などによって、テストステロン値が自然に上がることが多くの研究で示唆されています(Nieuwdorp, 2024)(thetimes.co.uk, PubMed)。
- 特に、低脂肪ダイエットは男性のテストステロンを低下させる可能性があり注意が必要です(Whittaker et al., 2022)(arxiv.org)。
- また、ケトジェニックダイエットのような減量食が、2型糖尿病リスクと共にテストステロン値を改善するという報告もあります(reddit.com, health.com)。
6. 要点を整理:テストステロンとインスリン感受性の関係性
項目 | 簡単な説明 |
---|---|
テストステロン(水準) | 筋肉量、代謝、気分、骨密度に関与する男性ホルモン |
低テストステロン | インスリン感受性の低下、脂肪増加、糖代謝異常につながりやすい |
推定メカニズム | GLUT4やインスリン受容体の増加、ミトコンドリア機能向上、炎症抑制など |
補充療法(TRT) | インスリン抵抗性の改善や体組成改善に一定の効果あり。ただし個人差に注意 |
ライフスタイルの影響 | 減量・運動・良質な睡眠がテストステロンを改善し、インスリン感受性向上に役立つことが多い |
7. まとめ|テストステロンは“代謝ホルモン”として重要
- テストステロンは、単なる性ホルモンではなく、代謝や代謝疾患に深く関与するホルモンです。
- 経時的に低下するテストステロンは、インスリン感受性の低下や代謝異常の一因となり得ます。
- 食事・運動・睡眠・ストレス管理といった生活習慣の改善が、テストステロンの維持やインスリン感受性の向上につながる可能性があります。
一方で、テストステロン補充療法(TRT)を考える際には、医師の診察と検査を通して慎重な判断が必要です。
📚 主な参考文献
- Dandona P. et al. (2021). Mechanisms underlying the metabolic actions of testosterone in humans. Diabetes Obesity & Metabolism (dom-pubs.onlinelibrary.wiley.com)
- Grossmann M. (2014). Testosterone and glucose metabolism in men: current concepts and controversies. Journal of Endocrinology (joe.bioscientifica.com)
- Prospective cohort data showing testosterone predicts insulin resistance: (pmc.ncbi.nlm.nih.gov)
- Hyperinsulinemic-euglycemic clamp study showing positive correlation between testosterone and insulin sensitivity & VO₂max: (PubMed)
- Meta-analysis on testosterone and metabolic syndrome / T2DM risk: (PubMed, PubMed)
- RCT evidence of TRT improving glucose metabolism: (pmc.ncbi.nlm.nih.gov)
- Ketogenic diet effects on TT and insulin sensitivity: (reddit.com)
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