【肩の安定を支える筋肉たち】ローテーターカフ(回旋筋腱板)とは?
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上裕司です。
肩関節は非常に自由度が高い関節で、私たちが腕を前後左右・上下に自在に動かせるのは、このおかげです。しかしその分、不安定にもなりやすく、筋肉のサポートがとても重要になります。

ローテーターカフとは?
肩関節の安定に大きく関わっているのが、「ローテーターカフ(回旋筋腱板)」と呼ばれる4つの小さな筋肉です。具体的には次の4つです:
・棘上筋(きょくじょうきん)
・棘下筋(きょくかきん)
・小円筋(しょうえんきん)
・肩甲下筋(けんこうかきん)
これらは「肩のインナーマッスル」とも呼ばれ、肩関節の中心にある上腕骨頭を関節窩(かんせつか)へ引き寄せて安定させるという重要な役割を担っています。
ローテーターカフが正しく機能することで、肩の周囲の大きな筋肉が生み出す力がうまく関節に伝わり、スムーズかつ安定した動作が可能になります。
上腕二頭筋長頭も安定化に関与
ローテーターカフと並んで、上腕二頭筋の長頭(ちょうとう)腱も、肩関節の安定に貢献しています。
特に、肩を上げはじめる挙上初期(30度まで)に、上腕骨頭がズレないようにサポートする働きがあります。
このように、目立たない筋肉たちがチームのように協力して、肩の安定を保ってくれているのです。
肩甲下筋のユニークな構造と機能
この4つの筋肉の中でも、肩甲下筋は特にユニークな構造を持っています。
肩甲下筋は多羽状筋(たはじょうきん)と呼ばれる形をしていて、内部には複数の腱(筋内腱)があり、それぞれ少しずつ違う方向に走行しています。
この構造により、腕の角度によって働きやすい部位が変わるという特性があります。
内旋動作と肩甲下筋の働きの違い
腕を内側に回す動作(=内旋)を行うとき、肩の角度によって肩甲下筋のどの部分が働くかが変化します。
腕を下ろした位置(下垂位)での内旋では、肩甲下筋の上部の筋線維(横方向に走っている線維)が最も力を発揮しやすい。
腕を上げた位置(外転90°など)での内旋では、下部の筋線維の活動量が増え、こちらが主に力を出します。
つまり、肩甲下筋はどの角度でも効率よく内旋動作ができるような構造になっているのです。
三角筋:大きな動きを担うアウターマッスル
肩の大きな筋肉といえば、「三角筋(さんかくきん)」が代表的です。肩の丸みをつくる筋肉で、主に腕を動かす大きな力を発揮します。
三角筋は3つの部位に分かれ、それぞれ異なる動きに関与しています。
その他の肩関節の補助筋
以下の筋肉も肩の動きに関わっており、三角筋やローテーターカフと協力して動作を支えます。
大胸筋上部:鎖骨内側1/2から始まり、上腕骨の前方に付着。屈曲動作に関与。
烏口腕筋(うこうわんきん):肩甲骨の突起(烏口突起)から始まり、上腕骨の前側へ。屈曲・内転・内旋に関与。
上腕二頭筋:長頭は関節の上、短頭は烏口突起から始まり、肘の近くに付着。肩の屈曲を助けます。
まとめ:肩の安定性と動作の両立は“チームワーク”が大事
肩関節は、大きな可動域を持つ一方で、その分安定性を保つのが難しい関節でもあります。
それを補っているのが、ローテーターカフをはじめとした筋肉たちの連携プレーです。
正しく鍛えることで、ケガの予防にもつながります。特にスポーツや筋トレをする方にとっては、インナーマッスルのケアは非常に重要です。