【肩の安定を支える筋肉たち】ローテーターカフ(回旋筋腱板)とは?

解剖学
2026年1月
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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

~「動く」と「支える」の絶妙なバランス:肩関節の安定性を守る筋肉のメカニズム~

肩関節は全身で最も広い可動域を持つ関節です。私たちが腕を自在に振り回せるのはこの「自由度」のおかげですが、その構造は「ゴルフティーに乗ったボール」に例えられるほど不安定です。

この不安定な関節を支え、スムーズな動きを可能にしている「筋肉のチームワーク」について解説します。

1. 肩の守護神:ローテーターカフ(回旋筋腱板)

肩の安定を支える主役が、「ローテーターカフ」と呼ばれる4つの小さな筋肉です。

  • 棘上筋(きょくじょうきん)
  • 棘下筋(きょくかきん)
  • 小円筋(しょうえんきん)
  • 肩甲下筋(けんこうかきん)

これらは総称して「肩のインナーマッスル」と呼ばれます。その最大の役割は、上腕骨の頭(骨頭)を肩甲骨の受け皿(関節窩)へと引き寄せ、関節の軸をピタリと安定させること(求心位の保持)です。インナーがしっかり土台を固めることで、アウターマッスルが発揮する大きな力が、空回りすることなくスムーズな動作へと変換されます。

2. 「上腕二頭筋長頭」も安定化の重要メンバー

力こぶの筋肉として知られる「上腕二頭筋」ですが、その長頭腱は関節の中を通り、肩の安定にも深く関与しています。
特に、腕を上げ始める「挙上初期(0~30度)」において、骨頭が上にズレ上がらないよう上から押さえ込む役割を担っています。目立たないながらも、肩の脱臼やズレを防ぐ貴重なサポーターです。

3. 肩甲下筋のユニークな構造:部位によって変わる役割

4つのローテーターカフの中でも、最大かつ最強の筋肉が、肩甲骨の裏側に位置する「肩甲下筋」です。この筋肉は「多羽状筋(たはじょうきん)」という、鳥の羽が重なったような複雑な構造をしています。

この構造のおかげで、腕の角度によって働く部位が賢く切り替わります。

  • 腕を下ろした位置(下垂位)での内旋
    主に「上部線維」が働きます。横方向に走る線維が、効率よく骨を回旋させます。
  • 腕を上げた位置(90度外転位)での内旋
    主に「下部線維」の活動が強まります。斜め上に走る線維が、挙上した状態での安定と回転を支えます。

「どの角度でも力強く内側にひねることができる」のは、この部位ごとの緻密な役割分担があるからなのです。

4. パワーを担うアウターマッスル:三角筋

肩の丸みを作り、大きなパワーを生み出すのが「三角筋」です。動きの方向によって3つの部位が使い分けられます。

  • 前部線維:腕を前に上げる(屈曲)、内側にひねる(内旋)。
  • 中部線維:腕を真横に上げる(外転)。
  • 後部線維:腕を後ろに引く(伸展)、外側にひねる(外旋)。

5. 肩の動きをサポートする協力筋たち

その他にも、多くの筋肉が連携して肩の動作を支えています。

  • 大胸筋(上部):鎖骨から始まり、腕を前方に強く押し出す動き(屈曲・内転)をサポートします。
  • 烏口腕筋(うこうわんきん):脇の奥にあり、腕を前に上げたり、内側に閉じたりする動きを助けます。
  • 上腕二頭筋(短頭):長頭が安定を担うのに対し、短頭は主に「屈曲」や「内転」の力を補助します。

まとめ|肩の健康は「チームワーク」で決まる

肩関節は、大きな動きを担う「アウターマッスル」と、関節を精密に安定させる「インナーマッスル」が同時に働くことで、はじめて安全に機能します。

どちらか一方が強すぎたり弱すぎたりすると、関節の軸がブレてしまい、痛みやケガ(インピンジメントや腱板損傷など)の原因となります。
正しい知識に基づき、それぞれの筋肉をバランスよくケア・強化することが、一生動けるしなやかな肩を作るための近道です。

※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

【引用文献】

  • Inman, V. T., et al. (1944). Observations on the function of the shoulder joint. JBJS. (肩のバイオメカニクスの古典的研究)
  • Decker, M. J., et al. (2003). Subscapularis muscle activity during selected rehabilitation exercises. The American Journal of Sports Medicine. (肩甲下筋の部位別活動に関する研究)
  • Neumann, D. A. 著「筋骨格系のキネシオロジー」: 肩関節の安定化機構と筋肉の連動に関する詳細。
  • 坂井建雄 監訳「プロメテウス解剖学アトラス」: 筋肉の付着部や多羽状筋構造の確認。

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
正しい知識をわかりやすく発信中。

保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・Core&Calm(コアカーム)パーソナルジム経営
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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