【筋トレやリハビリに役立つ】肩関節の角度と筋肉の力のかかり方(モーメントアーム)をわかりやすく解説!
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
「三角筋ってどの角度で一番効いてるの?」
「肩のトレーニング、どの角度がベスト?」
そんな疑問を持ったことありませんか?
肩の筋肉が関節を動かす力(=トルク)は、筋肉の力×モーメントアームで決まります。
そしてこのモーメントアームは、関節の角度によって変化するんです。
この記事では、三角筋と棘上筋のモーメントアームが角度によってどう変わるかをわかりやすく解説します!

◆ そもそもモーメントアームって何?
簡単に言えば、
筋肉の力が、どれくらい効率よく関節を回すかを決める「てこの長さ」
のようなものです。
同じ筋力でも、モーメントアームが長いほど関節を強く動かす力(トルク)が発揮されます。
◆ 三角筋のモーメントアームの変化
▶ 屈曲(腕を前に上げる動き)でのモーメントアーム
三角筋前部線維・中部線維が主に働きます。
屈曲角度が大きくなるにつれて、モーメントアームは大きくなる。
つまり、腕を上げれば上げるほど効きやすくなる筋肉です。
すべての角度で、前部線維の方が中部線維よりも効率的に働く。
📝ポイント:三角筋前部線維は、特に高い位置での動作で力を発揮しやすい!
▶ 外転(腕を横に上げる動き)でのモーメントアーム
中部線維と前部線維が主に外転モーメントアームを持ちます。
外転角度が大きくなるにつれて、モーメントアームも増加。
初期では中部線維の方が強いけれど、100°前後では前部線維と同じくらいに。
後部線維は、0〜80°まではむしろ内転(下げる方向)に働くが、80°を超えるとわずかに外転にも関与する。
📝ポイント:高い位置での外転では、三角筋全体がバランスよく関与する。
▶ 総まとめ(三角筋)
前部線維・中部線維はすべての角度で屈曲&外転の働きを持つ。
角度が大きいほど、強く働く傾向あり。
後部線維は基本的に伸展(後ろに引く)筋として働き、
外転0~80°では内転作用
外転80°以上でようやく外転作用も少し出てくる。
◆ 棘上筋(きょくじょうきん)のモーメントアームの変化
棘上筋は、肩の安定性と動きの両方に関わる小さな筋肉ですが、とても重要です。
▶ 屈曲でのモーメントアーム
棘上筋の前部線維と後部線維が屈曲に関与。
特徴は、下垂位(腕が下がった位置)で最もモーメントアームが大きいこと。
角度が大きくなると、だんだんモーメントアームが減少し、120°ではほぼ働かなくなる。
📝ポイント:初動(下から上げ始め)の屈曲で活躍する筋肉。
▶ 外転でのモーメントアーム
全ての角度で外転作用あり。
しかし、屈曲と同じく、下垂位での外転モーメントアームが最大。
外転角度が増えると、外転作用も弱まる。
120°ではかなり力が弱くなります。
📝ポイント:腕を横に上げ始める動作の初期段階で力を発揮!
▶ 棘上筋の屈曲vs外転:どっちに強い?
0°〜70°くらいの角度までは、屈曲方向への力が大きい
つまり、「横に上げる」よりも「前に上げる」方が棘上筋は働きやすい!
◆ まとめ:筋トレやリハビリにも応用できる!
肩関節の動きは非常に複雑。
でも、筋肉がどの角度でどれくらい力を出しやすいか(=モーメントアーム)を理解することで、以下のようなメリットがあります。
✅ トレーニングの効かせたい角度を狙える
✅ 可動域に合わせた負荷調整ができる
✅ 痛みが出にくい角度を選べる
📌例えば:
・三角筋を効率よく鍛えるなら、肩を90°以上上げたトレーニングが有効
・棘上筋を狙いたいなら、軽い重量で0°〜70°の動きに集中するのがベスト
関節の角度と筋力の関係を知ることで、トレーニングはもっと「効率的」に、そして「安全」に行えます!
気になる方は、ぜひご自分のトレーニングに活かしてみてくださいね!