こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
ぽっこりお腹に悩んでいる方はいませんか?
その原因、実は「SIBO(小腸内細菌異常増殖症)」かもしれません。
腸内細菌は本来、大腸に多く存在するべきものですが、何らかの理由で小腸に異常繁殖すると、ガスの発生や膨満感、便通異常など様々な不調を引き起こすことがあるのです。
今回は、この「SIBO」について深掘りし、原因・症状・改善方法まで解説していきます。

SIBO(小腸内細菌異常増殖症)とは?
小腸には通常、約1万個の腸内細菌が存在しています。一方、大腸には100億〜1兆個と圧倒的に多くの細菌が存在します。
この腸内細菌が、本来あるべき「大腸」ではなく「小腸」で過剰に増えてしまった状態がSIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth)です。
【検査方法】
・呼気ガス検査により、水素やメタンの発生量を測定しSIBOかどうかを判定します。
ただし、検査費用が高額なため、気軽に受けられる検査ではないのが現状です。
腸内細菌と腸内環境の重要性
腸内細菌はどうやって体に定着する?
人間の腸内環境は、誕生直後の産道通過を機に形成が始まります。帝王切開で生まれた子どもは一時的に腸内細菌の種類が少ない傾向がありますが、その後の生活環境が重要です。
アルコール除菌の多用や清潔志向が強すぎると、腸内細菌の多様性が失われる可能性もあるため、適度な“菌とのふれあい”が重要とされています。
腸内細菌の働きと短鎖脂肪酸の役割
腸内細菌は、以下のような重要な働きを担っています。
・短鎖脂肪酸の産生(酢酸・酪酸・プロピオン酸など)
・ホルモンの生成(GLP-1やPYYなど)
・交感神経刺激・脂肪蓄積抑制
・セロトニンの生成に関与
食物繊維やオリゴ糖は人間の酵素では分解できません(βグリコシド結合のため)。それらを腸内細菌が発酵させて、短鎖脂肪酸を作り出すのです。
【重要】短鎖脂肪酸とダイエットの関係
短鎖脂肪酸には、以下のような働きがあります。
・GPR43受容体を介してインスリンシグナルを抑制 → 脂肪蓄積の抑制
・GPR41受容体を介してノルアドレナリン分泌 → エネルギー代謝の促進
つまり、短鎖脂肪酸はダイエットにおいて非常に重要です。
一方で、ケトン体がこの交感神経刺激の作用に拮抗するという報告もあり、糖質制限ダイエット(ケトジェニック)は一部の短鎖脂肪酸の効果を抑制する可能性があります。
SIBOによる不調のメカニズム
SIBOでは、小腸内で腸内細菌が過剰繁殖し、以下のような不調を引き起こします。
・水素ガスやメタンガスの過剰産生
・腹部膨満感、ガス、腹痛
・食後のげっぷ、胸焼け、便秘や下痢の繰り返し
これにより、小腸のタイトジャンクション(細胞の結合部)が壊れ、「リーキーガット症候群」になる可能性も。
リーキーガットは、炎症性疾患や自己免疫疾患の原因とも言われています。
SIBOの主な原因
まずはこの4つを把握しておきましょう。
①小腸の蠕動運動低下
空腹時間の不足や睡眠不足が影響
②ストレス
自律神経や腸の運動に悪影響
③抗生物質の乱用
腸内細菌のバランスを崩す
④胃酸の分泌不足
胃酸が細菌の増殖を抑えているため、日本人は特に注意
SIBO改善に向けたアプローチ
① 低FODMAP食の実践
FODMAPとは「発酵性糖質」のことで、腸内細菌の“餌”になります。
低FODMAP食を行うことで、腸内細菌の異常増殖を抑制することが可能です。
<2週間目安で試すのがオススメ>
✅ 低FODMAP食(OK食材)
玄米・十割そば・こんにゃく・じゃがいも
ブロッコリー・バナナ・いちご・ベリー類など
❌ 高FODMAP食(避けたい食材)
パン・ラーメン・キムチ・玉ねぎ・りんご・豆類・乳製品など
② 胃酸の分泌サポート
・梅干し・酢の物などで唾液・胃酸の分泌を促進
・食前にしっかり食欲を感じる「五感で味わう」意識も重要
・必要に応じて、ベタインHCLのサプリメントも検討(消化力のサポート)
まとめ
SIBOは、現代人の「ぽっこりお腹」や「慢性的な不調」の大きな原因の一つかもしれません。
特に、善玉菌であっても「場所」が間違っていると悪さをするという点がポイントです。
検査が難しい分、日常の症状や食後の反応に注意を払いながら、低FODMAP食や胃酸サポートなどのアプローチを実践してみてください。
※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。
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