乳酸の間違った考え方とは?無酸素運動と呼ばれる理由は?
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
乳酸と酸素
【乳酸ができるのは筋肉を中心に体内の酸素がない状態になるから】
こういう考え方が実際ありました。
その理由について解説していこうと思います。
グリコーゲンやグルコースが分解されていくとやがてピルビン酸ができます。
そのピルビン酸は2つの代謝経路に分かれます。
①酸化機構のシステムでミトコンドリアに入ってTCA回路で酸化される
②細胞質で乳酸になる
①のミトコンドリアに入って完全に酸化されるには、酸素が必要です。
②に細胞質でピルビン酸が乳酸になるには酸素は必要ありません。
なので、①のピルビン酸がTCA回路に進むのか、②の乳酸産生の方向に進むのかは、
酸素があるかないかで区別されていた。
①酸素があれば、TCA回路へ
②酸素がなければ、乳酸へ
たしかに高強度の運動では多く乳酸ができると思う。
強度が高くなると、酸素がなくてもエネルギーを作れる経路に進むということは、運動をしている時には無酸素状態になっている。
という考え方や覚え方をしている人は実際多く存在していた。
このようにピルビン酸からの代謝経路は、
①酸素があればミトコンドリアへ行って酸化。
②酸素がなければ乳酸
というように、酸素の有無だけで理解してしまっているということです。
運動の強度が上がれば上がるほど、乳酸が多く作られるので、『その時の筋肉内は無酸素状態だ!』という考え方となり、乳酸ができる運動=無酸素運動と呼ばれてしまいました💦
さらに酸素がないとされてできた乳酸は、それ以上に代謝しようがないといわれ、乳酸は蓄積するだけで肝臓で糖質に戻されるのを待つ老廃物、疲労物質などいわれるようになったのです。
今でも乳酸ができる運動=無酸素運動という見方がまだ残っているのではないでしょうか?