こんにちは!
トレーナー育成講師の井上です。
「クエン酸は疲労物質を除去してくれる」
「クエン酸を飲めば疲れが取れる」
このように言われること、よくありますよね。
サプリや栄養ドリンクでも“クエン酸配合=疲労回復効果”とアピールされているものも多くあります。
でも、それって本当に科学的に正しいのでしょうか?
今回は「クエン酸と疲労物質の関係」を整理しながら、よくある誤解について解説していきます。

■ クエン酸は「疲労物質を除去する」って本当?
よく聞く説は次のようなものです。
・クエン酸は疲労物質(乳酸など)の生成を防ぐ
・または、それを素早く除去する
・だから疲労回復に役立つ
一見もっともらしく思えますが、実はこの主張には科学的な根拠が非常に薄いことが分かっています。
■ 実際のところ、クエン酸の“除去効果”はない
クエン酸を摂取したからといって、疲労物質の代謝(処理)が大きく変わることはないというのが実際のところです。
また、「クエン酸が乳酸を除去するから回復する」という考え方も、すでに誤りであることが明らかになっています。
■ 疲労物質(例:乳酸)は自然と減っていく
運動後に一時的に蓄積する「疲労物質」は、運動をやめた時点から自然と代謝が進みます。
特に乳酸は、
・運動後すぐに減少を始め
・約1時間ほどでかなり低下します
つまり、もしクエン酸が「疲労物質を除去する」のであれば、効果があるのは運動直後に摂取した場合だけということになります。
■ でも、実際は…
現実には、多くの人が
・運動してからしばらく経った後
・日常の疲れがたまったとき
などに「クエン酸=疲労回復」を期待して摂取しています。
でもこの場合、仮に疲れが取れたように感じても、それはクエン酸が疲労物質を除去した結果ではありません。
つまり、「疲労物質が減った=クエン酸のおかげ」ではなく、
もともと自然に回復していた可能性が高いのです。
■ なぜ「クエン酸=疲労回復」というイメージが定着したのか?
おそらく、次のような誤解が絡んで広まってしまったのでしょう。
・疲労とは「乳酸などの疲労物質が溜まること」
・クエン酸は代謝に関与する成分だから、疲労物質も処理してくれるはず
・だから、クエン酸は疲労を回復する
しかし、実際には、
・クエン酸で代謝が劇的に変わることはない
・疲労物質の除去は体の自然な回復反応によるもの
というのが正しい理解です。
■ まとめ:クエン酸に疲労回復効果はあるのか?
・クエン酸は確かにエネルギー代謝に関与する物質
・しかし、「疲労物質の除去」や「疲労回復」を直接担うわけではない
・疲労物質(乳酸など)は自然と代謝される
・クエン酸摂取で“元気になった気がする”のは心理的な影響も大きい可能性あり
クエン酸自体が悪いわけではありませんが、
過度に「即効性のある疲労回復アイテム」として期待しすぎるのは要注意です。
正しく理解して、上手に活用していきましょう!
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。
コメント