代謝に必要な酵素を知ろう。エネルギーを生み出す基本
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
グルコース・グリコーゲン
糖質というと、本来は果糖・ショ糖・乳糖など多くの種類がある。
しかし、運動時の代謝を中心に考えると体内の糖というと血液の糖であるグルコースと、貯蔵されているグリコーゲンを指す。
この2つについて考えれば、運動時の糖代謝についてはほぼ十分と考える。
血液中のグルコース濃度のことは血糖値と呼ばれ、脳は通常の場合、糖質を主たるエネルギー源としていて、血液からグルコースを受け取っている。
血糖値が下がると、脳のエネルギー源が十分届かなくなるので、血糖値を維持することは重要である。
食事をすれば血糖値は上がるが、それが正常レベルに下がりにくくなるのが糖尿病である。
このように血糖値は正常レベルに保たれていることが必要である。
グリコーゲンは貯蔵されている糖質であり、単純にいえばグルコースが集まったものである。
肝臓や筋肉に多くあり、グルコースが多数集まったものがグリコーゲンということからわかるように、グルコースとグリコーゲンは最初のいくつかの段階を除くと、それ以降はほとんど同じ代謝経路をたどって代謝される。
酵素反応による分解
糖質、脂質、たんぱく質を利用してエネルギーを生み出すには、酵素の働きが必要である。
酵素はある物質を別の物質に変える働きをするたんぱく質である。
酵素が働いて変わる物質のことを基質という。
1つの酵素による反応は、例えばある基質にリン酸を1つ付けるといった反応を起こしている。つまり、酵素がある基質を変えるといっても1つの基質を全く別の物質に変わるわけではない。
そこで、糖質や脂質まどが完全に分解されて二酸化炭素と水になるまでには、何段階もの酵素反応があって、それぞれの反応によって少しずつ別のものに変わっていく。
この中でいってみれば、流れが太くできる段階と細い段階がある。
太くできる段階は反応を比較的に楽に進めるということであり、細い段階ではその酵素の量が少なかったり、その効果が働くのに他の補助因子が必要になるなど、いろいろな条件が必要になり、流れを太くできない。
そして全体の反応量は、流れの細い段階がどれだけ流れるかが決めることになる。
そこでこの流れの細い反応段階を律速段階
この反応を触媒する酵素のことを鍵酵素と呼ぶ。
エネルギーはATPから発生するが、無機リン酸が付くことや外れることがエネルギーを貯めることや放出することに関係してくる。
そこで酵素反応の中でもリン酸が関係する段階が、鍵酵素が働く重要な段階である。
糖質の代謝では、ヘキソキナーゼ・グリコーゲンホスホリラーゼ・ホスホフルクトキナーゼなどが、鍵酵素として重要だが、どれもリン酸が付く反応を触媒する。
また酵素の働きにはATPを必要としないことが多いが、中にはATPを必要とする段階もあり、その段階も律速段階であることが多い。