股関節の解剖学入門|寛骨臼・大腿骨頭の役割と変形リスクを学ぼう
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
今回は「股関節」に関係する骨について、できるだけわかりやすく解説していきます。
運動やストレッチ、リハビリ、トレーニングを行ううえでも、股関節の構造を知っておくことはとても大切です。

✅ 股関節ってどこにあるの?
股関節は、骨盤と太ももの骨がつながっている関節で、「脚の付け根の関節」のことです。
脚を動かすときや、立ち上がったり歩いたりするときに、大きな役割を果たしています。
✅ 股関節に関わる2つの骨
股関節は主に次の2つの骨でできています。
① 寛骨(かんこつ)=骨盤の一部
寛骨は、「腸骨」「坐骨」「恥骨」という3つの骨が1つにくっついてできたものです。
その接合部には、「寛骨臼(かんこつきゅう)」というくぼみがあります。
ここが、太ももの骨の先端とぴったりかみ合う場所になります。
📝ポイント
寛骨臼の表面は、滑らかで衝撃を吸収する軟骨(なんこつ)で覆われています。
その下には「寛骨臼切痕(きれこみ)」や「寛骨臼窩(中央のくぼみ)」があります。
② 大腿骨(だいたいこつ)=太ももの骨
大腿骨は、体の中で最も長くて太い骨です。
股関節とつながる部分は、「大腿骨頭(だいたいこっとう)」と呼ばれ、丸いボールのような形をしています。
大腿骨頭は「大腿骨頸(けい)」と呼ばれる細い首のような部分を通じて、骨の本体とつながっています。
📝ポイント
大腿骨には「大転子」「小転子」という筋肉がつく出っ張りがあります。
骨の角度には「頚体角(けいたいかく)」や「前捻角(ぜんねんかく)」という重要な指標があります。
✅ 頚体角と前捻角とは?
これらの角度は、股関節の動きや姿勢に大きく影響します。
頚体角(けいたいかく)
太ももの骨の首と本体が作る角度(約125°が正常)
大きすぎると「外反股(がいはんこ)」
小さすぎると「内反股(ないはんこ)」になります
前捻角(ぜんねんかく)
太ももの骨の先端がどのくらい前にねじれているか(約15°)
子どもに多い「内股歩き」なども、この角度が影響します
✅ 股関節の異常|よくある2つのパターン
股関節に関係する異常は、大きく2つに分けられます。
① 寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)
生まれつきや成長過程で、骨盤側のくぼみが浅くなってしまう状態。
大腿骨頭がしっかりとおさまらず、将来的に股関節の痛みや変形につながることもあります。
特徴としては:
・骨盤のくぼみが浅く、前に傾いている
・大腿骨が外にずれている
・股関節が不安定になりやすい
② 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)
これは、骨同士がぶつかってしまう状態です。
くぼみや骨の一部が過剰に発達し、動かすたびに骨が擦れ合ってしまいます。
スポーツをしている若い人や、関節の柔軟性が足りない方にも起こりやすいです。
✅ まとめ|股関節を理解してトラブルを防ごう
股関節は、体の中でも特に重要な関節です。
「骨盤」「太もも」「関節の角度」などが絶妙に組み合わさって、動きやすさや安定感を作り出しています。
しかし、角度や形に異常があると、痛みやケガの原因にもなります。
トレーニングやケアを行う際も、股関節の構造を知った上で取り組むとより効果的です!