走り幅跳び選手に必要な柔軟性とストレッチ習慣|記録を伸ばすための実践ガイド

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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

走り幅跳びは、「助走 → 踏切 → 空中姿勢 → 着地」という一連の動作をスムーズかつ効率的に行うことで記録を伸ばす競技です。

筋力やスピードだけでなく、その土台となる柔軟性は、動作の可動域を広げ、無駄のないフォームをつくり、ケガの予防にも役立ちます。

本記事では、走り幅跳び選手が身につけるべき柔軟性のポイントと、それを高めるためのストレッチ習慣を解説します。

医学的な診断や治療を目的とせず、トレーニングやウォームアップの参考になる安全な情報に絞ってお伝えします。

柔軟性が走り幅跳びに与える3つのメリット

走り幅跳びにおける柔軟性は、単なる「身体のやわらかさ」ではありません。
競技パフォーマンスを高める具体的なメリットがあります。

1. 可動域の拡大によるパワー発揮

助走から踏切にかけて、股関節・膝・足首の可動域が広いほど、筋肉の伸張反射(SSC:Stretch-Shortening Cycle)が効率よく使えます。
股関節の伸展や膝の引き上げがスムーズになれば、踏切の推進力が増します。

2. 動作の効率化

柔軟性が不足していると、フォームが制限され、余計な動きや力みが発生します。
例えば、ハムストリングスが硬いと脚のたたみが遅れ、空中での姿勢制御が乱れやすくなります。

3. ケガの予防

柔軟性は関節や筋肉のストレス分散にもつながります。
特に股関節やアキレス腱周囲の柔軟性が高ければ、着地時の衝撃をより安全に受け止められます。

走り幅跳びで特に重要な柔軟性部位

走り幅跳び選手は全身をバランスよく動かしますが、特に以下の部位の柔軟性がパフォーマンスに直結します。

股関節

  • 動きの中心であり、助走のストライド・踏切の伸展・空中姿勢すべてに影響。
  • 屈曲(太ももを上げる)、伸展(後ろに引く)、外旋(ひねる)と多方向の可動が必要。

ハムストリングス

  • 脚の引き上げや踏切後の脚たたみに必須。
  • 硬くなると空中動作や着地姿勢が制限される。

大殿筋・臀部周辺

  • 踏切の爆発力と股関節安定性に関わる。
  • 可動域が広いと踏切時の地面反力を効率的に活かせる。

足首(足関節)

  • 地面反力の伝達・着地衝撃吸収に直結。
  • 背屈(つま先を上げる)と底屈(つま先を伸ばす)の両方が必要。

脊柱(特に胸椎)

  • 腕振りと空中姿勢の安定性に影響。
  • 胸椎の柔軟性が高いと、腰や首への負担も軽減される。

柔軟性を高めるストレッチ習慣

走り幅跳び選手にとって重要なのは、タイミングに応じたストレッチ方法を使い分けることです。

① ウォームアップ前半:動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)

  • 主に練習や試合前に行い、筋温を高めながら可動域を広げる。
  • 動きを伴うストレッチで、神経系を活性化。

例:

  • レッグスイング(前後・左右)
  • ウォーキングランジ
  • ヒップサークル
  • アームサークル

💡 ポイント:反動を使いすぎず、可動域を徐々に広げる。

② クールダウン:静的ストレッチ(スタティックストレッチ)

  • 練習や試合後に行い、筋肉をゆっくり伸ばして回復を促す。
  • 急激な反動を避け、呼吸を止めずに行う。

例:

  • ハムストリングスストレッチ(座位前屈)
  • 股関節ストレッチ(開脚前屈)
  • 大殿筋ストレッチ(仰向けで膝を胸に引き寄せる)
  • ふくらはぎストレッチ(壁押し)

💡 ポイント:20〜30秒を目安にリラックスしながら伸ばす。

③ 補強としてのモビリティトレーニング

  • 可動域と筋力を同時に高める動作。
  • 週2〜3回取り入れるとフォーム改善にもつながる。

例:

  • ゴブレットスクワット(深くしゃがんで股関節を広げる)
  • ヒップエアプレーン(片脚立ちで骨盤を回す)
  • ベアクローラー(四つ這いでの全身移動)

柔軟性トレーニングの注意点

  1. 無理な伸ばし方をしない
    • 痛みを感じる手前で止める。
  2. 呼吸を止めない
    • 息を吐きながらリラックスすると伸びやすい。
  3. 継続する
    • 柔軟性は一度高めても放置すると戻る。毎日の短時間習慣が効果的。
  4. 筋トレと組み合わせる
    • 可動域を広げたうえで、その範囲で力を出せるようにする。

柔軟性チェックのセルフテスト例

走り幅跳び選手が自分の柔軟性を把握するための簡易チェックです。

  • 股関節屈曲:仰向けで膝を抱え、腰が浮かずに胸に近づけられるか
  • 前屈:立った状態で指先が床に届くか
  • 足首背屈:壁に向かって立ち、膝を曲げてつま先を離さずに壁に触れられるか

💡 このチェックはパフォーマンスの参考指標であり、医療的診断ではありません。

柔軟性向上のための週間スケジュール例

曜日メニュー
動的ストレッチ+股関節モビリティ
動的ストレッチ+静的ストレッチ(練習後)
モビリティ+軽いヨガ動作
動的ストレッチ+足首柔軟
動的ストレッチ+静的ストレッチ
モビリティ+全身ストレッチ
オフまたは軽い静的ストレッチ

まとめ

走り幅跳び選手にとって柔軟性は、「フォームの自由度」「パワー発揮の効率」「ケガ予防」の三拍子を支える重要な要素です。
日々のウォームアップ・クールダウン・モビリティトレーニングを組み合わせることで、無理なく可動域を広げ、競技力の向上につながります。

筋力やスピードと同じように、柔軟性も計画的に鍛えましょう。
柔軟な身体は、跳躍の質を変え、記録更新の大きな一歩になります。

※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
正しい知識をわかりやすく発信中。

保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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