こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
私たちの体には、「肝グリコーゲン」と「筋グリコーゲン」という2種類のグリコーゲンがあります。
それぞれの役割には、はっきりとした違いがあるのをご存じですか?

肝グリコーゲンの特徴
肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを「肝グリコーゲン」と呼びます。
これはグリコーゲンを分解して「グルコース(ブドウ糖)」を作り出し、血液中に送り出す役割を担っています。
つまり、血糖値(血中のグルコース濃度)を維持するために使われるのが肝グリコーゲンです。
ただし、肝臓に貯められる量は約100gとそれほど多くありません。
筋グリコーゲンの特徴
一方、筋肉には約300〜400gのグリコーゲンが貯蔵されています。
肝臓よりも多くの量を蓄えられる筋グリコーゲンですが、血糖値を直接維持することはできません。
なぜかというと、筋肉には「グルコース6-ホスファターゼ」という酵素が存在しないため、
グリコーゲンをグルコースに変えて血液中に送り出すことができないからです。
そのため、筋グリコーゲンは筋肉の中だけで使われるエネルギー源となります。
でも、間接的には関われる
とはいえ、筋グリコーゲンは血糖値維持に間接的に貢献することができます。
筋肉内でグリコーゲンを分解する過程で、「乳酸」が生成されます。
この乳酸は筋肉から血液中に放出され、
他の筋肉(特に遅筋線維)や心筋に取り込まれ、エネルギー源として利用されるのです。
つまり、筋肉から筋肉へ、エネルギーを“乳酸”という形で受け渡しているのです。
乳酸は「使える」エネルギー
乳酸というと「疲労物質」のイメージを持たれるかもしれませんが、
実は運動中に非常に効率よく使えるエネルギー源です。
特に、運動していない筋肉や心臓も、血中の乳酸を積極的に取り込んでエネルギーとして活用しています。
つまり、乳酸は“とても使いやすい燃料”。
筋グリコーゲンが乳酸となって他の筋肉に送られることで、全身でエネルギー効率の良い循環が起きているのです。
まとめ
・肝グリコーゲンは血糖値を維持するためのグルコース源。
・筋グリコーゲンは主に筋肉の中で使われるエネルギー源。
・筋グリコーゲンは乳酸を介して他の筋肉や心臓にエネルギーを供給できる。
・乳酸は「疲労物質」ではなく、「優秀なエネルギー源」。
運動中の体内では、実に賢くエネルギーのやり取りが行われているんですね。
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。
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