ビタミンB6の働きと最新研究|不足症状から効果的な摂取方法まで徹底解説

栄養学
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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

ビタミンB6は、エネルギー代謝や神経伝達物質の合成、免疫機能の維持に欠かせない水溶性ビタミンです。

特にタンパク質代謝に深く関わり、「アミノ酸の利用効率を高めるビタミン」としても知られています。

本記事では、ビタミンB6の基礎知識から最新の研究成果、食品からの効果的な摂取方法までをわかりやすく解説します。

1. ビタミンB6とは

1-1. ビタミンB6の形態

ビタミンB6は単一の化合物ではなく、以下の6種類の化学形態の総称です。

  • ピリドキシン(PN)
  • ピリドキサール(PL)
  • ピリドキサミン(PM)
  • それぞれのリン酸型(PNP、PLP、PMP)

特にピリドキサール5′-リン酸(PLP)は、体内で活性型として働く主要な形態で、100種類以上の酵素反応に関与します。

2. ビタミンB6の主な働き

2-1. アミノ酸代謝

PLPはアミノ酸のトランスアミネーション(アミノ基転移)、脱炭酸反応などに必要です。これにより、食事から摂取したタンパク質を効率よくエネルギーや体の構成要素に変換できます。

2-2. 神経伝達物質の合成

ビタミンB6はセロトニン、ドーパミン、GABAなどの神経伝達物質の生成に必須です。特にセロトニン合成にはトリプトファンからの変換過程でPLPが必要となり、気分や睡眠の安定に関わります。

2-3. ヘモグロビン合成

ビタミンB6はヘム合成にも関与しており、不足すると小球性貧血が起こることがあります。

2-4. グリコーゲン分解

筋肉や肝臓のグリコーゲンをエネルギーに変える過程で、PLP依存酵素が作用します。スポーツや運動時のパフォーマンス維持にも重要です。

3. 不足するとどうなる?

ビタミンB6欠乏症は、極端な欠食やアルコール依存症、薬剤(例:イソニアジド)による代謝阻害で発生します。

主な症状:

  • 口角炎、舌炎
  • 皮膚炎
  • 抑うつや神経過敏
  • 手足のしびれ(末梢神経障害)
  • 小球性貧血

特に高タンパク食を摂る人や、妊娠中・授乳中の女性は需要が増加するため注意が必要です。

4. 最新研究が示すビタミンB6の健康効果

4-1. うつ症状とB6

海外の疫学研究では、ビタミンB6摂取量が多い人ほど抑うつ症状が少ない傾向が報告されています。これは神経伝達物質合成を通じた脳機能の安定効果によると考えられます。

4-2. 心血管疾患予防

PLPはホモシステイン代謝に関与し、血中ホモシステイン濃度の低下を助けます。高ホモシステイン血症は動脈硬化のリスク因子であるため、B6は心血管疾患予防に寄与する可能性があります。

4-3. 炎症抑制作用

近年、ビタミンB6は炎症マーカー(CRP)の低下とも関連があるとされ、慢性炎症性疾患の予防研究が進んでいます。

5. 1日の推奨摂取量と上限

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、成人の推奨量は以下の通りです。

  • 男性:1.4 mg/日
  • 女性:1.2 mg/日
  • 妊婦:1.5 mg/日
  • 授乳婦:1.5 mg/日

耐容上限量は60〜100 mg/日程度とされています(長期過剰摂取は神経障害の原因となる可能性あり)。

6. ビタミンB6を多く含む食品

  • 肉類:鶏むね肉、牛レバー、豚ヒレ肉
  • 魚類:マグロ、カツオ、サケ
  • 植物性食品:バナナ、ピスタチオ、ヒヨコマメ
  • その他:玄米、ジャガイモ

調理による損失は比較的少ないですが、水溶性のため煮汁に溶けやすく、スープや煮込み料理で摂取するのがおすすめです。

7. 効果的な摂取のポイント

  1. 高タンパク食と組み合わせる
    タンパク質代謝に関与するため、肉・魚と一緒に摂ると効率的。
  2. 複数回に分けて摂取
    水溶性ビタミンのため体内に長く蓄積されず、1日数回に分けて摂るのが理想。
  3. ストレスが多い時は意識的に増やす
    ストレスや運動負荷で需要が高まるため、生活環境に応じて調整。

8. サプリメント利用時の注意点

ビタミンB6は比較的安全性が高いビタミンですが、1日100 mg以上を長期的に摂取すると末梢神経障害のリスクが報告されています。サプリメントを使用する場合は、食事との合計摂取量に注意が必要です。

まとめ

ビタミンB6は、エネルギー代謝・神経機能・免疫維持など、多くの生理作用に不可欠なビタミンです。不足すると精神的・身体的な不調を招く可能性がありますが、食品からバランスよく摂取すれば十分に確保できます。
特にタンパク質を多く摂る人や、ストレスの多い生活を送る人は、B6摂取を意識すると良いでしょう。

※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

参考文献

  1. Leklem JE. Vitamin B6. In: Erdman JW Jr, Macdonald IA, Zeisel SH, eds. Present Knowledge in Nutrition. 10th ed. Wiley-Blackwell; 2012:307–320.
  2. Kennedy DO. B vitamins and the brain: mechanisms, dose and efficacy—a review. Nutrients. 2016;8(2):68.
  3. Chiang EP, et al. Plasma pyridoxal 5′-phosphate concentration is inversely associated with systemic inflammation in the US adult population. J Nutr. 2005;135(6):1475–1480.
  4. Lara J, et al. The association between vitamin B6 status and depressive symptoms: a systematic review. Psychiatry Res. 2009;166(3):254–262.

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
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保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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