こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
疲れやすい、肌荒れが治らない、口角が切れやすい――。
これらの不調、実は「ビタミンB₂不足」が原因かもしれません。
ビタミンB₂(リボフラビン)は、主に脂質を効率よくエネルギーに変える“代謝のビタミン”。さらに、細胞を酸化ストレスから守り、肌や粘膜の健康を維持する重要な役割も担っています。
現代の食生活では、加工食品や外食が中心になりがちで、このビタミンの摂取量が不足するケースも増えています。しかも、成長期や運動量の多い人、ストレスを抱える人は特に消耗しやすく、知らないうちに体調不良の引き金となることも。
本記事では、ビタミンB₂の働き、最新研究で明らかになった健康効果、効率的な摂取方法までをわかりやすく解説します。今日から取り入れられる食習慣のヒントも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

1. ビタミンB₂とは?
ビタミンB₂(リボフラビン)は、水溶性ビタミンB群の一つで、体内でエネルギー代謝や抗酸化作用に深く関わる重要な栄養素です。
主に脂質の代謝に必要な補酵素として働き、特にミトコンドリアでのエネルギー産生に欠かせません。
また、ビタミンB₂は発育や皮膚・粘膜の健康維持にも関与しており、不足すると口角炎や皮膚炎、目の充血などの症状が現れます。
2. ビタミンB₂の主な働き
(1) エネルギー代謝をサポート
ビタミンB₂は、体内でフラビンモノヌクレオチド(FMN)やフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)に変換されます。これらは酸化還元反応を担う補酵素で、糖質や脂質の代謝、クエン酸回路、電子伝達系で不可欠です。
特に脂肪酸のβ酸化にも関わり、脂肪燃焼型のエネルギー産生を助けます。
(2) 抗酸化作用
ビタミンB₂は、グルタチオン還元酵素の働きをサポートし、体内の抗酸化物質であるグルタチオンの再生に関わります。これにより、活性酸素の除去や細胞の酸化ストレス低減に貢献します。
(3) 成長と皮膚・粘膜の健康維持
成長期の子どもや、皮膚の新陳代謝が活発な人にとってビタミンB₂は特に重要です。皮膚や髪、爪の形成にも関与するため、「発育のビタミン」と呼ばれることもあります。
3. ビタミンB₂不足の症状
不足すると口角炎・口唇炎・舌炎・皮膚炎などの粘膜障害や、目の充血、光過敏などが現れます。重度の場合は成長障害や貧血を引き起こすこともあります。
不足の原因には以下があります。
- 偏った食事(加工食品中心、野菜・乳製品不足)
- アルコール多飲
- 高い代謝需要(妊娠、授乳、成長期、運動選手)
- 長期の抗生物質使用(腸内細菌による合成減少)
4. ビタミンB₂が豊富な食品
ビタミンB₂は比較的多くの食品に含まれますが、熱や光に弱い性質があります。
主な食品例(100gあたり)
- 豚レバー:約3.6mg
- 牛レバー:約3.0mg
- 鰯(丸干し):約0.89mg
- 鶏卵:約0.43mg
- 牛乳:約0.15mg
- アーモンド:約1.1mg
- しめじ:約0.22mg
※成人の推奨量(厚生労働省):男性1.6mg/日、女性1.2mg/日
※運動量が多い人や妊婦・授乳婦は必要量が増加します。
5. ビタミンB₂と運動・代謝
近年の研究では、ビタミンB₂が持久力や筋肉のエネルギー効率にも影響することが示されています。運動時には脂肪酸の利用が増えますが、この過程にFADが関与するため、B₂不足はエネルギー効率低下や疲労感の原因になります。
特に持久系スポーツ選手は、発汗や代謝亢進によりビタミンB₂の消費が高まるため、食事やサプリでの補給が推奨されます。
6. 最新研究トピック
(1) ビタミンB₂と偏頭痛
欧米の研究では、ビタミンB₂(高用量サプリメント)が偏頭痛発作の頻度を減らす可能性があることが報告されています。これはミトコンドリアのエネルギー代謝改善と酸化ストレス軽減によるものと考えられています。
(2) ビタミンB₂と心血管疾患リスク
FADはホモシステイン代謝に関与する酵素活性に必要であり、B₂不足はホモシステイン高値を招き、動脈硬化リスクを高める可能性があります。
(3) ビタミンB₂と眼の健康
加齢黄斑変性(AMD)や白内障の発症抑制にも関わる可能性が報告されています。酸化ストレス防御や水晶体タンパク質の安定化に寄与すると考えられます。
7. 効率的な摂取方法
- 加熱しすぎない:煮汁に溶け出すため、スープごと摂取
- 光を避けて保存:牛乳や食品は遮光容器に
- 動物性・植物性を組み合わせる:吸収率の向上につながる
- 運動後・成長期は意識的に補給
まとめ
ビタミンB₂は、エネルギー代謝・抗酸化作用・皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。
近年の研究では、偏頭痛予防や心血管疾患リスク低減など、多岐にわたる健康効果が注目されています。
日常的に食品からしっかり摂取し、必要に応じてサプリメントも活用することで、健康的な代謝と細胞の若さを保つことができます。
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。
参考文献
- Powers HJ. Riboflavin (vitamin B-2) and health. Am J Clin Nutr. 2003;77(6):1352-1360.
- Schoenen J, et al. Effectiveness of high-dose riboflavin in migraine prophylaxis. Neurology. 1998;50(2):466-470.
- McNulty H, et al. Riboflavin lowers blood pressure in cardiovascular disease patients with the MTHFR 677TT genotype. J Hypertens. 2013;31(9):1830-1836.
- Chiu CJ, et al. The relationship of major dietary patterns to risk of age-related macular degeneration. Am J Ophthalmol. 2009;148(6):882-889.
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