こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
「疲れやすい」はビタミンB₁不足のサインかも?
「最近、なんだか疲れやすい」「集中力が続かない」…そんな悩みを抱えていませんか?
その原因、もしかすると「ビタミンB₁(チアミン)」不足かもしれません。
ビタミンB₁は、体のエネルギーを作るために欠かせない栄養素であり、「疲労回復ビタミン」とも呼ばれています。
この記事では、ビタミンB₁の役割や不足による影響、最新の海外研究に基づいた健康効果まで、わかりやすく解説します。

ビタミンB₁とは?エネルギーの発電所を動かす“点火プラグ”
ビタミンB₁(チアミン)は、水溶性のビタミンB群のひとつで、主に炭水化物をエネルギーに変える働きをしています。
たとえば、私たちが食べたお米やパン、果物などに含まれる糖質(ブドウ糖)。
これを体内で“燃料”として使うには、ビタミンB₁が必要なのです。
つまり、ビタミンB₁が足りないと、エネルギーがうまく作れず「だるい」「眠い」「イライラする」といった不調が出てしまいます。
ビタミンB₁が不足するとどうなる?
✔️ 疲れやすくなる
エネルギーがうまく作れないと、どれだけ寝ても回復しません。
✔️ 脳や神経がうまく働かなくなる
ビタミンB₁は脳や神経の働きにも深く関わっており、不足すると「集中力の低下」「手足のしびれ」「記憶力の低下」などが起こることも。
✔️ 重度の場合「脚気」や「ウェルニッケ脳症」に
かつては日本でも多かった「脚気(かっけ)」は、ビタミンB₁欠乏が原因。
現在でも、偏食やアルコール依存、ダイエット、糖質過多の生活で発症するケースがあります。
ビタミンB₁が注目される理由【最新研究からわかったこと】
近年、ビタミンB₁は単なる“エネルギーのビタミン”ではなく、脳・心・代謝・メンタルヘルスにまで影響する多機能栄養素として注目されています。以下に最新研究でわかってきた注目の効果を紹介します。
1. 認知症・アルツハイマー病との関係
海外の研究では、ビタミンB₁の血中濃度が低い人は、認知症のリスクが高くなることが示されています。
特にアルツハイマー病患者では、脳内のビタミンB₁濃度が低く、神経細胞のエネルギー代謝に異常があることが確認されています。
また、ビタミンB₁の合成アナログである**ベンフォチアミン(benfotiamine)**という成分が、脳の炎症を抑え、認知機能を改善する可能性があるとして、アメリカでは臨床試験も進んでいます。
2. メンタルヘルスとストレス対策にも効果的?
オーストラリアの研究チームによると、ビタミンB₁を補給したグループは、うつ症状や不安感が軽減したと報告されています。
脳の神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)の合成には、ビタミンB群が必要不可欠。
とくにビタミンB₁は、ストレス時に消耗されやすいため、「忙しくて余裕がない」と感じる時こそ意識的に摂取すべき栄養素です。
3. 糖尿病や高血圧への関与も注目
糖質代謝を支えるビタミンB₁は、糖尿病や高血糖の予防にも関与しています。
一部の研究では、ビタミンB₁の高用量投与により、糖尿病患者の血糖コントロールや腎機能の指標が改善したとの報告も。
また、高血糖状態では尿中にビタミンB₁が大量に排出されやすく、知らないうちに慢性的な欠乏状態になることもあります。
4. 脳卒中リハビリにも役立つ可能性
ビタミンB₁は神経細胞の修復や再生にも関与しており、脳卒中後のリハビリ時に不足していると、回復が遅れる可能性があります。
ある研究では、ビタミンB₁が足りないと脳内のエネルギー代謝がうまくいかず、神経細胞がダメージを受けやすくなると示唆されています。
ビタミンB₁を効率よく摂るには?
🌾 食品から摂るなら…
- 豚肉(ヒレ・もも)
- 玄米・全粒パン
- 大豆・納豆
- ゴマ・ナッツ類(特にクルミ)
- 海苔・昆布
特に豚肉はトップクラスの含有量を誇り、疲労回復の食材としても定番です。
💊 サプリは必要?
普段の食事で十分な量を摂れていれば問題ありませんが、以下の人は補助的にサプリを検討しても良いでしょう。
- アルコールをよく飲む人
- 白米中心の偏った食事が多い人
- 妊娠・授乳中の女性
- 激しい運動や仕事でエネルギー消費が多い人
- 糖尿病・胃の手術歴のある人
摂りすぎは大丈夫?
ビタミンB₁は水溶性なので、余分な分は尿として排出されやすく、基本的に過剰症は起きにくいとされています。
ただし、ある研究では「ビタミンB₁の摂取量が多すぎると、逆に認知機能が落ちる可能性がある」とも報告されているため、極端な高用量サプリの長期摂取は避けた方が安全です。
おわりに|“なんとなく不調”を放置しない
ビタミンB₁は、日々のエネルギーや心と脳の健康を支える「縁の下の力持ち」。
特に、ストレスや疲労がたまりやすい現代人にとっては、意識して摂取したい栄養素です。
「疲れが取れにくい」「最近ちょっとぼーっとする」そんなときは、まず**ビタミンB₁をしっかり摂れているか?**振り返ってみてください。
食事から、そして必要ならサプリも活用して、毎日をもっと元気に過ごしていきましょう!
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。
参考文献
- Gibson GE, Hirsch JA, Cirio RT, Jordan BD. “Abnormal thiamine-dependent processes in Alzheimer’s Disease.” Metabolic Brain Disease. 2013.
- Lonsdale D. “Thiamine and magnesium deficiencies: keys to disease.” Medical Hypotheses. 2015.
- Mkrtchyan G, et al. “High-dose thiamine improves glucose tolerance in hyperglycemic individuals.” Diabetologia. 2023.
- Costantini A, Pala MI. “Benfotiamine in the treatment of diabetic polyneuropathy.” Clinical Drug Investigation. 2014.
- Benton D, Donohoe R. “The influence of thiamine status on mood and cognitive performance.” Psychopharmacology. 1999.
- Calabrò RS, et al. “Role of thiamine in stroke rehabilitation: A pilot study.” Neurological Sciences. 2024.
- Li D, et al. “J-shaped association between dietary thiamine intake and cognitive function in older adults.” BMJ Open. 2024.
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