ミトコンドリアATP産生量と糖質の分解量の比較
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
余ったピルビン酸の行方
ミトコンドリアでの酸化機構のシステムは、常に機能しています。
酸素はいつも体内にあって、常にミトコンドリアはその酸素を材料にしてエネルギーを生み出しています。
体内が酸素を摂取する量は、全身のミトコンドリアが利用した酸素の量で、その時に必要なエネルギーの量を示すとされてきました。
その酸素を摂取する量は運動強度に対して上昇していきます。
その運動強度でどのくらいエネルギーが必要であるのか?ミトコンドリアの機能がどれだけ働くか?
必要以上にミトコンドリアがエネルギー(ATP)を作ることはありません。
走る速度や運動強度と酸素の摂取量は比例するので、強度が増えれば、ミトコンドリアでエネルギーを生み出す量は増えてくると言えますね。
ただし、糖質の分解量の上昇はさらにすごい。ミトコンドリアの生み出すエネルギー量と比較しても糖質分解量の方が急激に上昇するのです。
そこで、糖質を分解してできるピルビン酸がその分余ってしまいます。
※ミトコンドリアATP産生量 < 糖質分解量
この余ってしまったピルビン酸を処理するために、ピルビン酸が乳酸に変わってきます。
ですので、乳酸ができるということは、糖質の分解が過剰に起こっている反応であると言えるのではないでしょうか?
糖質の分解が多くなることにより、つまり運動強度が増えるとその分乳酸ができるという解釈は合っていると思います。
糖質が分解され、ピルビン酸になるまでですが、細胞内の小器官以外の場所である細胞質で起きています。
その後、ピルビン酸はミトコンドリアに入ってこないと、酸化機構でエネルギーを生み出せないのですが、
細胞質には乳酸脱水素酵素があります。
これは、ピルビン酸を乳酸に変化させる酵素になります。
場所からいっても、ピルビン酸がミトコンドリアに入らない分は、細胞質で乳酸に変化するのは自然な現象だと思います。
これまでは、糖質の分解がおきピルビン酸からの代謝が進まない分は乳酸に変化すると考えられていました。乳酸ができるということは酸素がない状態であるという考えです。
だたし、今回の記事は全く違った逆の説明になります。
ミトコンドリアが十分機能している運動強度はVO²MAXの60~70%程度になります。
※VO²MAX = 最大酸素摂取量
その強度でも実際に乳酸は上昇します。
無酸素性作業閾値を超えた強度(解糖系)でも、ミトコンドリアは機能して酸素も十分にあるのです。