熱ショックたんぱく質(HSP)とは?運動とストレスの関係を解説

生理学
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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

~シャペロンの働きと運動・ストレスとの関係~

たんぱく質は、アミノ酸が多数結合してできた高分子の栄養素です。
その並び順や結合パターンが異なることで、さまざまな種類のたんぱく質が生まれます。

私たちの体内には、実に多様なたんぱく質が存在しており、それぞれが異なる役割を担っています。

たとえば…

① 構造たんぱく質(筋肉や骨など、体の材料になる)

② 酵素たんぱく質(消化・代謝を助ける)

③ 輸送たんぱく質(グルコースや乳酸を運ぶ)

などです。

輸送たんぱく質はとてもデリケート

体内では、グルコースや乳酸などの物質を筋肉へ届けるために、“輸送体”と呼ばれるたんぱく質が働いています。
この輸送体は、細胞膜を貫通しながら物質を送り届けているのですが、実はとても壊れやすい構造です。

・高温

・酸性環境(胃酸など)

・振動や機械的ストレス

こうした条件で簡単に壊れてしまいます。

だからこそ、私たちが食べ物からたんぱく質を摂取した場合も、胃や腸で「完全に分解」されたあとに吸収される必要があるのです。

酵素たんぱく質は温度の影響を受ける

体内の酵素(=たんぱく質の一種)は、適切な体温で最もよく働くようにできています。

だから運動前のウォーミングアップはとても重要。
体温を上げて酵素の活性を高めることで、代謝やパフォーマンスが向上します。

ただし注意したいのは、酵素は「たんぱく質」なので、熱に弱いという点。

体温が過度に上昇すると、酵素の構造が壊れて機能を失ってしまうのです。

そこで登場!「熱ショックたんぱく質(HSP)」

こうした高温やストレスからたんぱく質を守るために登場するのが、熱ショックたんぱく質(Heat Shock Protein:HSP)です。
HSPは「シャペロン」とも呼ばれ、体内のたんぱく質が変性して壊れてしまうのを防ぐ働きをします。

・熱による変性

・酸性環境や機械的ストレス

・活性酸素などの細胞ダメージ

このようなダメージに対して、HSPはたんぱく質の構造を安定化させたり、修復したりする“サポーター”のような存在です。

HSPは「ストレスたんぱく質」とも呼ばれる

熱だけでなく、さまざまなストレス(紫外線・有害物質・炎症・酸化ストレス)に反応して作られるため、HSPは「ストレスたんぱく質」とも呼ばれています。

つまり、HSPは私たちの体を守る「細胞の防御隊」のようなもの。

実際に、軽いストレス(例:サウナ・温冷交代浴・有酸素運動)を与えることでHSPの産生が促進されるという研究もあります。

まとめ|HSPは体内たんぱく質を守る「裏方ヒーロー」

・たんぱく質は壊れやすいデリケートな分子

・酵素や輸送体など、多くの生理機能に深く関与している

・HSPは、そうしたたんぱく質の「変性」や「機能低下」を防ぐために働く

・運動やサウナなど、適度なストレスでHSPは増える

日々の健康やパフォーマンス向上のためにも、HSPの働きを意識したライフスタイルはとても重要です。

※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
正しい知識をわかりやすく発信中。

保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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