こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
今回は、「食欲をコントロールするための正しい知識」についてお話します。
どんな食材を食べるべき?
どんな食べ方が効果的?
そもそも食欲が乱れる原因とは?
こうした疑問をホルモン、血糖値、腸内環境、そして心理面から整理していきましょう。

食欲が止まらないのは意志の問題ではありません。ホルモン・血糖値・心理状態など、複雑な要因が絡んでいます。この記事では、科学的に正しい「食欲のコントロール法」を徹底解説します。
食欲は“脳”と“ホルモン”で決まる
食欲は、脳の視床下部が関与する無意識的な欲求です。
・満腹感は、視床下部→視床→報酬系へと伝わり、行動に影響
・食欲の高まりや抑制には、複数のホルモンが関与
関連するホルモンの一例:
・グレリン
胃から分泌され、食欲を高める
・PYY
小腸から分泌され、食欲を抑える
・レプチン
脂肪細胞から分泌され、満腹を伝える
つまり、食欲は「意志の力」で抑え込めるものではないということです。
ただし、仕組みを理解し、間接的にコントロールすることは可能です。
耐糖能の低下=食欲が乱れる原因のひとつ
糖質制限などの極端な食生活を続けていると、耐糖能(血糖を処理する力)が低下します。
その結果、食後の血糖値が急上昇・急降下し、以下のような影響が出ます:
・空腹感が急激にやってくる
・甘いものへの欲求が増す
・イライラ・眠気が起こる
これがいわゆる「機能性低血糖」です。
加えて、腸内環境も悪化すると、PYYなどの食欲抑制ホルモンの分泌が低下し、さらに食欲がコントロールしにくくなります。
感情と食欲は“自律神経”でつながっている
ストレスや怒り、悲しみといった感情の変化も、食欲に大きく影響します。
これは、感情を司る偏桃体が、自律神経を介して視床下部に刺激を与えるためです。
ストレス → 副交感神経の乱れ → 過食
イライラ → 血糖の乱高下 → 甘いものへの依存
つまり、メンタル面と食欲は直結しているということ。
情報に振り回されていませんか?
「○○を食べれば痩せる」「○○は絶対NG」などの極端な情報を信じすぎると、逆に食欲が乱れる原因になります。
たとえば、
・○○を食べると脂肪がつく
・〇〇は太るから絶対禁止
などの禁止・断言型の情報は、脳に「ストレス」として認識され、反発したくなる気持ちが生まれます。
心理的リアクタンスが食欲を暴走させる
人間には、「禁止されるほどやりたくなる」心理的反応があります。これを心理的リアクタンスといいます。
例:
「絶対にポテチを食べてはいけません!」
と言われたら、逆に気になってしまいませんか?
禁止されるほど、脳内ではその食品の存在が大きくなり、我慢がストレスとなって、後に“爆食い”につながるケースも。
事実、「禁止された食品」は欲求が約1.5倍になるという研究結果もあります。
カロリー収支と“ホメオスタシス”の関係
体重の増減は基本的にカロリー収支によって決まります。
摂取カロリー > 消費カロリー → 太る
摂取カロリー < 消費カロリー → 痩せる
ですが、ここで忘れてはいけないのが、人間には「恒常性(ホメオスタシス)」があるということです。
急激な体重変化や摂取量の変化があると、身体は元に戻そうと働きます。これがリバウンドの原因です。
食欲を整えるには“知識”と“許可”が必要
食欲は、単に「意志の強さ」で解決できる問題ではありません。
・ホルモンバランス
・血糖コントロール
・腸内環境
・自律神経・心理状態
・誤った情報による反発
これら全てが複雑に絡み合って、私たちの「食べたい」という気持ちが生まれているのです。
まとめ:禁止よりも“理解と工夫”でコントロール
ダイエットや食事制限で大切なのは、「我慢」ではなく「理解と工夫」です。
・仕組みを理解することで、食欲に振り回されなくなる
・好きなものを“許可”して、適量楽しむ方が暴食を防げる
・禁止しすぎると、反動で過食やリバウンドを招くリスクが高まる
まずは、あなたの“食欲”が何に影響されているのかを知ることから始めてみましょう。
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※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。
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