こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
110mハードルは、陸上競技の中でもスピード・リズム・柔軟性・爆発力・技術力が高次元で求められる種目です。100m走のような純粋なスプリント能力に加え、10台のハードルを最短ロスで越える技術が必要になるため、「ただ速く走れるだけ」では勝てません。
そのため、110mハードル選手にとって筋トレは非常に重要です。しかし、やみくもにベンチプレスやスクワットを行えば良いわけではなく、競技特性に合わせた筋力強化が必要です。
この記事では、110mハードルで結果を出すための筋トレについて、一般にもわかりやすく、専門的に解説していきます。

110mハードルに必要な身体能力とは?
110mハードルでは、以下の能力が重要です。
1. スタートダッシュ力
スタートから1台目までの加速が極めて重要です。短い距離でトップスピード近くまで上げる必要があります。
2. ハードル間の高速移動能力
ハードル間は3歩で進むため、接地時間を短くしながら爆発的に進む必要があります。
3. 股関節の柔軟性と可動域
リード脚・抜き脚の動作には高い股関節可動域が必要です。
4. 空中姿勢の安定性
上半身がブレると着地ロスが増えます。体幹機能が重要です。
5. 左右差の少ない身体操作能力
リード脚と抜き脚の連動には、左右バランスが必要です。
110mハードル選手の筋トレで鍛えるべき部位
下半身
- 大臀筋
- ハムストリングス
- 大腿四頭筋
- 内転筋
- ふくらはぎ
地面反力を得るために必須です。
体幹
- 腹横筋
- 腹斜筋
- 脊柱起立筋
- 多裂筋
ハードリング中の姿勢維持に関与します。
上半身
- 広背筋
- 三角筋
- 肩甲帯周囲筋
腕振りやバランス制御に必要です。
110mハードル選手におすすめの筋トレ種目
1. バックスクワット
脚力強化の王道です。特に股関節主導で行うことでスタートダッシュに直結します。
F=ma
大きな力を短時間で出す能力(加速力)向上に有効です。
方法
- 3〜5回 × 4セット
- 高重量中心
- フルスクワットよりハーフ〜パラレル中心でも可
2. ブルガリアンスクワット
片脚支持能力を高めます。ハードル動作は片脚局面が多いため非常に重要です。
効果
- 左右差改善
- 骨盤安定
- 股関節強化
方法
8回 × 3セット(左右)
3. ルーマニアンデッドリフト
ハムストリングスと臀筋を強化します。
ハムストリングスは接地後の引き戻し動作、遊脚の回収に重要です。
方法
6〜10回 × 3セット
4. ボックスジャンプ
瞬発力向上に最適です。
効果
- 神経系活性化
- 地面反力向上
- 跳躍力向上
方法
3〜5回 × 5セット
高く跳ぶより「速く跳ぶ」意識が重要です。
5. メディシンボールスロー
体幹と全身連動性を鍛えます。
特にスタート局面や腕振り改善に有効です。
ハードラーに重要な体幹トレーニング
プランクだけでは足りない
110mハードルでは、静止体幹より動的体幹安定性が重要です。
おすすめ:
- デッドバグ
- パロフプレス
- ケーブルローテーション
- ハンギングレッグレイズ
柔軟性トレーニングも必須
筋トレだけで硬くなると逆効果です。
特に重要部位:
- 腸腰筋
- ハムストリングス
- 内転筋
- 臀筋
- 胸椎回旋
おすすめ
- ワールドグレイテストストレッチ
- 90/90ヒップモビリティ
- レッグスイング
週間トレーニング例(高校生〜一般)
月曜:加速+下半身高重量
- スタートダッシュ
- スクワット
- RDL
- 体幹
火曜:技術+可動域
- ハードルドリル
- モビリティ
- 軽い補強
水曜:ジャンプ系
- バウンディング
- ボックスジャンプ
- メディシンボール
木曜:休養または軽練習
金曜:トップスピード+片脚筋力
- 流し
- ブルガリアンスクワット
- 体幹
土曜:ハードル実践のみ
日曜:休養
筋トレでやりがちな失敗
1. ボディビル型トレーニング
高回数パンプ目的だけでは競技力に直結しにくいです。
2. 可動域無視
筋力だけ上げてもハードリングしにくくなります。
3. 重量追求しすぎ
フォーム崩壊や疲労過多になります。
4. 上半身軽視
腕振りはタイムに大きく影響します。
記録向上に重要なのはRFD(力の立ち上がり速度)
110mハードルでは、最大筋力そのものより、どれだけ速く力を出せるかが重要です。
Power = Force × Velocity
つまり、
- 重い重量をゆっくり持つだけでは不足
- 軽重量を爆発的に動かす練習も必要
例:
- ジャンプスクワット
- クリーンプル
- スレッドプッシュ
高校生ハードラーにおすすめの筋トレ
成長期は高重量よりも、
- 正しいフォーム
- 片脚安定性
- 自重トレ
- 着地技術
- 股関節可動域
を優先しましょう。
まとめ
110mハードルの筋トレは、単なる筋肥大目的ではなく、速く走り、素早く越え、減速しない身体作りが目的です。
重要なのは、
- 下半身最大筋力
- 片脚支持力
- 爆発的パワー
- 動的体幹
- 柔軟性
- 左右差改善
この6つです。
110mハードルは「筋力 × 技術 × リズム」の競技です。
筋トレを競技動作につなげれば、タイムは大きく変わります。
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
参考文献
- Weyand PG et al. Faster top running speeds are achieved with greater ground forces. J Appl Physiol.
- Bezodis IN et al. Sprint acceleration mechanics.
- Mann R. The mechanics of sprinting and hurdling.
- Bompa TO. Periodization Training for Sports.
- Stone MH et al. Strength and power training for track athletes.

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