こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
「最近、胃が重い」「食後にムカムカする」「胃薬に頼る日々が続いている」
そんな悩みを抱えていませんか?
現代人はストレス、食生活の乱れ、睡眠不足などにより、胃に大きな負担をかけがちです。胃の不調は一時的な問題に見えて、実は長期的な消化吸収力の低下、免疫力低下、慢性炎症へとつながる可能性も。
本記事では、胃の構造と役割から、トラブルの原因、胃にやさしい栄養素・食品、生活改善のポイントまで、専門的かつわかりやすく解説します。

胃の基本構造と働き
胃は食道と小腸の間にある臓器で、食物を一時的に貯蔵し、消化酵素と胃酸で分解する役割を担っています。
胃の主な構造は以下の通り:
噴門部(ふんもんぶ):食道から胃へ食べ物が入る入口
胃体部(いたいぶ):胃酸やペプシンが分泌され、食物を分解
幽門部(ゆうもんぶ):小腸へと食物が送り出される出口
主な働きは:
・胃酸(塩酸)により細菌を殺菌
・ペプシンによりタンパク質を分解
・蠕動運動(ぜんどううんどう)による攪拌・排出
胃トラブルの主な原因と症状
胃の不調は、多くが生活習慣やストレスに起因しています。代表的な胃トラブルと原因は以下の通り:
● 胃もたれ・胃痛
暴飲暴食、脂っこい食事、アルコール
食後すぐ横になる習慣
胃の運動機能の低下
● 胃酸過多・逆流性食道炎
胃酸の分泌が多すぎる
食道下部括約筋の機能低下
コーヒー、チョコレート、炭酸飲料の過剰摂取
● 慢性胃炎・胃潰瘍
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染
NSAIDs(解熱鎮痛剤)の長期使用
長期間のストレスや睡眠不足
胃を守るために重要な栄養素
胃の粘膜を保護し、消化力を高めるには以下の栄養素が重要です。
● ビタミンU(キャベジン)
胃粘膜の修復・再生を助ける
多く含む食品:キャベツ、ブロッコリー、レタス
● L-グルタミン
消化管粘膜のエネルギー源
多く含む食品:卵、牛乳、鶏肉
● ビタミンA
粘膜の健康維持、修復に関与
多く含む食品:にんじん、かぼちゃ、レバー
● 亜鉛
粘膜再生と抗酸化に関与
多く含む食品:牡蠣、牛肉、ナッツ
胃に優しい食生活のコツ
● 食べすぎない:腹八分目を意識
満腹まで食べると胃酸の分泌が過剰になり、消化負担が大きくなります。
● ゆっくり噛む:咀嚼回数を増やす
よく噛むことで唾液が分泌され、胃の負担が軽減されます。
● 刺激物を避ける
香辛料・カフェイン・炭酸・アルコール・過剰な脂質は胃酸分泌を促進しやすい。
● 食後すぐに横にならない
逆流や胃もたれの原因になります。30分以上は座って過ごすのが理想。
胃と関わるホルモンと自律神経
胃の機能は、ホルモンと自律神経の影響を大きく受けます。
● ガストリン
胃酸分泌を促進するホルモン
食物の摂取や胃の拡張で分泌される
● セロトニン
胃腸のぜん動運動を調整する神経伝達物質
ストレスが多いとセロトニンが減少し、胃腸トラブルに直結
● 自律神経(交感神経・副交感神経)
緊張状態(交感神経優位)では胃液分泌・運動が抑制
リラックス状態(副交感神経優位)で胃の働きが活性化
ピロリ菌と慢性胃炎の関係
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃に住み着き、胃粘膜に慢性的な炎症を起こす原因菌です。感染者は日本人の約50代以上で半数以上とも言われています。
● ピロリ菌による影響
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
萎縮性胃炎 → 胃がんリスクの増加
● 除菌治療
除菌成功で、胃がんリスクは約1/3に低下
一般的には抗生物質と胃酸抑制剤の併用療法
胃の健康を保つための生活習慣
・規則正しい食事時間を守る
・睡眠をしっかり確保(7時間以上)
・ストレスマネジメント(深呼吸・運動・趣味)
・朝食を抜かない:空腹時間が長いと胃酸で胃粘膜が傷つきやすくなります
まとめ:胃を制する者は健康を制す
胃の状態は、全身の健康と密接に関わっています。胃が不調になれば、消化吸収力が低下し、栄養不足や免疫低下につながることもあります。
忙しい現代だからこそ、「胃にやさしい食事」と「ストレスケア」「規則正しい生活習慣」を意識することが、内臓から整える健康習慣の第一歩になります。
【参考文献】
厚生労働省e-ヘルスネット
日本消化器病学会「胃の病気ガイドライン」
日本消化器内視鏡学会資料
医学書院『消化器病学』2023年版
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