こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
~🏃♂️100m走で勝つための「フィジカル」の本質とは?~
100m走は「瞬発力とスピードの極限競技」。
ただし、単に速く走るだけでは勝てません。
鍵となるのは、加速局面・トップスピード維持・フォーム効率・筋出力の最大化といった複数の要素を体系的に鍛えることです。
本記事では、100m走に必要なフィジカル能力を科学的に分解し、パフォーマンス向上につなげるための具体的トレーニング法を紹介します。

① スプリントパフォーマンスの3要素とは?
100m走の動作は大きく3つに分かれます。
✅ 1. スタート〜加速局面(0〜30m)
・最大筋力と爆発的パワーが支配
・股関節伸展力(大臀筋・ハムストリングス)の貢献が大きい
✅ 2. トップスピード局面(30〜60m)
・ピッチ(回転速度)とストライド(歩幅)の最適化
・地面反力を逃さず推進力へ変換するフォームが必要
✅ 3. 減速抑制・スピード維持(60〜100m)
・ハムストリングスと体幹の筋持久力
・疲労時のフォーム維持能力=フィジカルとテクニックの融合
② 筋力トレーニングで「加速力」を引き上げる
100m走の記録を伸ばすには、「爆発的な地面反力」を生み出すための最大筋力とレート・オブ・フォース・ディベロップメント(RFD)が重要です。
🔹 有効な筋トレ種目
デッドリフト(股関節伸展力)
スクワット(下半身全体の筋力)
クリーン・ジャンプスクワット(爆発力・RFD向上)
🔹 トレーニング原則
高重量・低回数(85%以上1RM、3〜5回)
インターバル2〜3分、週2〜3回
スプリント前には“神経活性”として低回数セットを利用
③ プライオメトリクスとスプリントドリルで“弾む走り”を獲得
地面からの反力を最大限利用するには、「腱のバネ」と「神経系の速度」がカギです。
🔹 有効なプライオメトリクス
バウンディング(ハム・大臀筋主導の接地)
メディスンボール投げ(体幹連動性と爆発力)
ハードルホップ(接地時間短縮と反発力強化)
🔹 ドリルで意識する点
つま先接地ではなく、ミッドフット(中足部)で素早く反応
接地→離地の「時間と方向性」がすべて
④ コアとハムストリングスの強化で減速を抑える
ラスト40mで失速しないためには、「姿勢保持筋」としての腹部深層筋(腹横筋・腸腰筋)とハムストリングスの協調が必須です。
🔹 有効なコアトレーニング
デッドバグ・ハードローリング(動的安定性)
ドラゴンフラッグ(下肢と体幹の連動)
🔹 ハムストリングス強化
ノルディックハムカール(エキセントリック強化)
ヒップスラスト(爆発力と姿勢制御の両立)
⑤ 神経系・反応速度トレーニングも見逃せない
100m走では「どれだけ速く動けるか」以上に「どれだけ速く動き出せるか」が重要です。
つまり、神経系の応答性・反応速度・筋収縮速度の最大化が勝敗を分けます。
🔹 取り入れるべきトレーニング
スタート練習(聴覚刺激→初動反応)
アジリティドリル(反応スピード強化)
可動域を制限したスプリント(制約主導の神経適応)
✅ まとめ:100m走のフィジカル強化は「分解と統合」がカギ
100mの記録を更新するには、単に走り込むだけでは限界があります。
スプリント動作を構成する各フェーズにおいて、筋力・神経・柔軟性・腱反射・姿勢保持力などを細分化して鍛え、最終的に統合するトレーニング設計が求められます。
特に、陸上競技100mでは「パフォーマンス=フィジカル×技術×知識」。
科学的なトレーニング理論と実践を組み合わせることで、自己ベスト更新とケガの予防の両立が可能になります。
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。
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