こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
私たちの体は、年齢とともに変化していきます。
特に「最大酸素摂取量(VO₂max)」は、年齢によって向上のしやすさに違いがあることをご存知でしょうか?
今回は、「成長期」と「成人期」それぞれの身体の特徴と、
それに合ったトレーニングの方向性について解説します。

■ 成長期:循環器系が伸びるチャンス
成長期は、身長や体格だけでなく、心臓や血管などの循環器系も大きく成長する時期です。
この時期は、まさに最大酸素摂取量(VO₂max)を伸ばすゴールデンタイム。
心臓のサイズや拍出量、血管の柔軟性など、酸素を運搬する能力が一気に向上するため、
・中距離走などの持久系トレーニングに力を入れる
・有酸素能力を底上げする
といったアプローチが非常に有効です。
■ 成人期:循環器の成長は止まるが…
成長期を過ぎると、心臓や血管などの構造的な成長はほぼ止まります。
つまり、VO₂maxの大幅な向上は難しくなるということです。
実際、毎日トレーニングしている成人でも、VO₂maxに大きな変化が見られないというケースはよくあります。
ただし、ここで勘違いしてはいけないのが、
「大人は運動しても意味がない」わけではない、ということ。
■ 大人は“維持”と“質の向上”が大切
成人期では、循環器系の成長が止まるぶん、衰えを防ぐことが重要になります。
つまり、運動しなければVO₂maxは徐々に低下していくのです。
だからこそ、
・これ以上落とさないための運動習慣
・筋肉側(ミトコンドリアなど)の酸化能力の向上
が必要となります。
■ 成人でも伸ばせる「酸化機構の能力」
VO₂maxには大きな変化が見られなくても、筋肉の中で酸素を使う能力(酸化機構)は、成人でもしっかり鍛えられます。
特に注目されるのが「無酸素性作業閾値(AT値)」。
これは、長時間運動を続けられるかどうかを左右する重要な指標です。
筋肉内のミトコンドリア量や毛細血管の密度などは、年齢に関係なくトレーニングによって増やすことができます。
■ 年齢に応じたトレーニングの方向性
以下のような考え方が、実際のトレーニング現場でも用いられています。
・成長期(10代前半〜後半)
→ 中距離走やインターバルトレーニングを中心にVO₂maxを伸ばす
・成人期(20代以降)
→ トレーニング時間・距離を増やし、筋肉の酸化機構を強化
= 無酸素性作業閾値を高め、スタミナを養う
このように、年齢ごとの身体の特徴に合わせてアプローチを変えることが、効率的な体力向上につながります。
■ まとめ:年齢を言い訳にしないトレーニングを
・VO₂maxは年齢とともに向上しにくくなる
・しかし、筋肉の酸化能力(スタミナ)は成人でも鍛えられる
・年齢によって“何を伸ばすか”を変えることで、賢くトレーニングができる
「もう大人だから伸びない」ではなく、
“大人だからこそ鍛えられる部分”に注目して運動を続けていきましょう!
※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。
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