こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
激しい運動をすると、血液中の乳酸濃度が大きく上昇します。
昔はこの乳酸が「疲労の原因」「老廃物」と言われていましたが、実はそうではありません。
今回は、運動後におすすめの“動的回復”と、それによる乳酸の働きについて解説します。

動的回復とは?
動的回復とは、激しい運動のあとに、軽い運動を継続して行うことを指します。
たとえば、全力のダッシュをした後に、軽くジョギングやウォーキングを行うようなことです。
この動的回復を行うと、血中の乳酸濃度がより早く下がることがわかっています。
なぜ動的回復で乳酸が減るのか?
激しい運動後に完全に安静にしてしまうと、筋肉への血流が一気に低下します。
それにより、筋肉内に溜まった乳酸などの物質がうまく血液中に出ていかなくなります。
一方で、軽い運動を継続する(=動的回復)ことで、筋肉への血流が保たれるため、
・筋肉内から血液中へ乳酸などの物質がスムーズに移動
・血液中に送り出された乳酸は、他の筋肉や臓器で再びエネルギーとして使われる
という流れが作られます。
乳酸は“老廃物”ではない!
ここで大事なことをもう一度。
乳酸は老廃物ではありません。
乳酸は、運動中にグリコーゲンが分解されてできた大切なエネルギー源です。
血液中に出た乳酸は、心筋や遅筋繊維、肝臓などに運ばれ、再びATPを作る材料として使われます。
ですから、乳酸が残っていること自体は悪いことではありません。
むしろ、それをうまく使える状態にすることが重要です。
なぜ“乳酸を早く減らす”ことが回復につながるのか?
動的回復を行うことで乳酸が早く血液中に出ていき、全身に運ばれて再利用されます。
これにより:
・筋肉内の循環が維持される
・不要な物質(CO₂や老化した代謝物)の除去が促進
・新しいエネルギーの取り込みがしやすくなる
結果的に、疲労回復が早まるというわけです。
ここで重要なのは、乳酸を「悪者」として排除したいのではなく、
循環を良くして筋肉の代謝を正常に保つことが回復の鍵だということです。
まとめ
・動的回復とは、運動後に軽く動き続けること
・血流が維持され、筋肉内の乳酸が血液へ移動しやすくなる
・血液中の乳酸は再びエネルギーとして活用される
乳酸を早く減らすことで疲労回復が進むのは、血流と代謝が活発になるから
乳酸は“老廃物”ではなく、“再利用可能なエネルギー源”
運動後は、ただ座って休むよりも「ゆっくり動く」ことで、体の回復を助けてくれます。
乳酸=悪者 という誤解は、そろそろ捨てましょう。
乳酸は「使える疲労物質」なのです!
※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。
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