こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。
三大栄養素である「糖質」「脂質」「たんぱく質」。
今回はこの中から、糖質と脂質の違いに注目してみたいと思います。
なぜかというと、どちらも「摂りすぎると太る」といったネガティブなイメージが強く、同時に、私たちの重要なエネルギー源でもあるからです。
では、糖質と脂質、それぞれどんな特徴があるのでしょうか?
今回は「大きさ」「水に溶けやすいかどうか」といった視点から、詳しく見ていきましょう。

糖質と脂質の“大きさ”の違い
まずは「分子の大きさ」を比較してみましょう。
・グルコース(糖質の基本単位)の分子量は 180
・乳酸(運動で生まれる代謝産物)の分子量は 90
・パルミチン酸(脂肪酸の一種)の分子量は 256
さらに、脂質はこのパルミチン酸のような脂肪酸が 3つ と、グリセリンが結合してできています。
そのため、脂質全体としては分子量800以上になるとも言われています。
つまり、脂質は糖質に比べて 非常に大きな分子 なのです。
この「大きさの違い」は、体内での使われ方や取り扱いにも影響します。
脂質は糖質よりも大きいため、利用するまでに手間がかかるとも言えるでしょう。
水に溶けやすい?溶けにくい?
次に、もうひとつ大きな違いは「水への溶けやすさ」です。
糖質は水に溶けやすい
→ 血液中にそのまま溶け、全身に運ばれる
脂質は水に溶けにくい
→ 血液中ではアルブミンというたんぱく質にくっついて運ばれる
この違いも、体内での扱いやすさに影響します。
糖質はそのまま血液に乗ってスムーズにエネルギーとして使われますが、脂質は専用の“運搬役”が必要です。
水に溶けることの“メリットとデメリット”
一見すると、「水に溶ける糖質の方が扱いやすくて便利」と思うかもしれません。
しかし、水に溶けやすいということは、浸透圧に大きく関わるという一面もあります。
体内では、細胞内外の浸透圧が一定に保たれるよう、常に水分バランスが調整されています。
たとえばケガをして血が出たとき、水で傷口を洗うと赤血球が破裂することがあります。
これは、浸透圧の差によって水が赤血球内に流れ込みすぎてしまうからです。
糖質を摂ると喉が渇く理由
糖質は水に溶けやすいため、体内に糖質が多く入ってくると、その濃度を下げるために水分が必要になります。
「ごはんを食べると水が飲みたくなる」
「甘いものを食べたら喉が渇く」
といった経験、ありますよね?
これは、血液中の糖濃度が一時的に上がり、それを薄めるために身体が水を欲しているからです。
糖尿病の方が喉が渇きやすいのも、血糖値が常に高く、水分で薄めようとする反応が続いているからなのです。
脂質は水に溶けない=浸透圧に影響しない?
一方、脂質は水に溶けません。
つまり、体内に大量にあっても、浸透圧にはあまり影響を与えません。
その点では、糖質より“水の影響を受けにくい”というメリットがあります。
ただし、もちろん問題がないわけではありません。
血液中に脂質が多くなれば、血管内で詰まりやすくなるなど、動脈硬化や心臓病のリスクが高まることも知られています。
まとめ
糖質と脂質には、それぞれに特徴と役割があり、どちらも私たちの生命維持に欠かせない栄養素です。
どちらが“良い・悪い”ではなく、バランスよく摂ることが大切なのです。
食事の中で、糖質と脂質、それぞれの特性を知って選ぶ意識を持つだけで、健康への理解もぐっと深まるはずです。
※本記事は、健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・治療を目的としたものではありません。
症状や体調に不安がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。
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