脂肪をエネルギーに変換するのは手間がかかる?
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
糖質よりも手間がかかる脂質
ミトコンドリアに入った脂肪酸は、末端から炭素2つずつが分解されてアセチルCoAとなる。
この過程のことをベータ酸化という。
ベータ酸化でできたアセチルCoAは、ミトコンドリアのTCA回路の反応系に入って、完全に酸化利用されることになる。
このように脂肪の代謝経路というと、まず脂肪細胞で中性脂肪が脂肪酸に分解され、脂肪酸が血液に入りアルブミンとくっついて運ばれ、筋肉にたどり着くと脂肪酸トランスポーターを介して取り込まれ、筋肉内では今度はCPT1とCPT2を介してミトコンドリアに取り込まれ、ミトコンドリアで炭素2つずつにベータ酸化され、アセチルCoAになり、そこからTCA回路の反応経路に入って完全に利用される。
これは糖質に比べればかなり手間のかかる経路なのである。
脂肪細胞から筋肉への場所の移動がある。脂肪は水に溶けないので、輸送についても糖質より手間がかかる。
そこで、運動強度が高くなると、糖質の利用が高まり脂肪の利用が低下するようになる。
その理由として脂肪の利用は糖質よりも手間がかかるからなのではと考えられる。
ただし、脂肪の利用が手間がかかるといっても、あくまで糖質と比較すればの話である。
アミノ酸やまたその集まったものであるたんぱく質には窒素がある。
窒素はミトコンドリアの酸化反応にはかかわらないので、アミノ酸を代謝するには窒素を取り除く反応が必要になる。
水に溶けるかという問題も、水に溶けにくいアミノ酸も多い。
脂肪は糖質と比較すれば利用するのに手間はかかるが、脂肪は窒素はなくアミノ酸やたんぱく質と比較すれば利用しにくいとはいえない。
実際に安静時ではエネルギーの70%は脂肪利用でまかなわれていて、もっとも使われているエネルギー源である。
したがって、脂肪は安静時には使いやすいエネルギー源ともいえる。