脂質代謝経路について解説してみる③
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
CPT1とCPT2
脂肪酸はミトコンドリアで酸化されてエネルギーになるのであるから、脂肪酸は脂肪輸送体によって筋肉に取り込まれた後、さらにミトコンドリアに取り込まれることが必要である。
このミトコンドリアでの脂肪酸の取り込みにも、脂肪の輸送に関係するたんぱく質が働いている。
それが、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの1型と2型。
CPT1とCPT2と呼ばれるもの。
ミトコンドリアには外膜と内膜があるが、脂肪輸送に関係している。
この段階も脂肪の利用におけるひとつの律速段階である。
CPT1とCPT2がどれくらい働くのかは、脂肪の代謝と関係が深い。
運動するとこれらの働きが良くなるらしい。
またこれらのたんぱく質の働きには、名前からわかるようにカルニチンが関係している。
CPTに関係した脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みを単純に考えれば、
脂肪酸がアシルCoAと呼ばれる物質に変化し、それがミトコンドリアに入る際にカルニチンと結合する。
この反応がCPT1である。
これにより、ミトコンドリアの膜を通過するのだ。
ミトコンドリア内膜では、CPT2の働きによってカルニチンが外れる。
このようにして脂肪酸がミトコンドリア内に取り込まれている。
CPT1、CPT2を中心にして、ミトコンドリアの脂肪酸の取り込みについて考えられた結果、これらによる脂肪酸の取り込みが脂肪代謝の律速段階ではないかと考えられている。
このことから、カルニチンは脂肪酸のミトコンドリアへの輸送に関係するので、カルニチンの摂取は脂質代謝に影響すると言える。
ただし、カルニチンを摂取すれば脂肪利用が高まるという情報もあるが、実は脂質代謝の律速段階はいくつもあり、カルニチン量が脂質代謝を補強するのか必ずしもそうであると断言してはいけない。