鍵酵素の重要性。TCA回路を細かく見てみよう!

こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。

生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。

少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。

鍵酵素

血液の中にある糖質。グルコースは筋肉に取り込まれる。

取り込まれたグルコースはすぐに利用されるが、貯蔵される分はグリコーゲンになる。

グルコースが利用されるにはまずリン酸が付いてグルコース6リン酸となる。

このリン酸が付く段階が重要なポイントであることが多く、このグルコースがグルコース6リン酸となる段階は、糖質利用経路の一つのキーとなるポイントであるので、

この反応に必要な酵素。ヘキソキナーゼは鍵酵素である。

また、グリコーゲンからの代謝経路も、分解された後にグルコース1リン酸になり、続いてグルコース6リン酸となる。

グルコース6リン酸からは、ケトースと呼ばれる形に転化して、まずフルクトース6リン酸となる。

次にフルクトース1,6ビスリン酸となる。

これはリン酸がもう1つ付くことである。この段階も糖質の分解を調節する段階の1つで、鍵酵素はホスホフルクトキナーゼである。

ここまでは6個の炭素からなっていたが、次に炭素が3個ずつの2つの基質に分かれる。

それが、グルセルアルデヒド3リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸である。

そして1,3-ビスホスホグリセリン酸 → 3-ホスホグリセリン酸 → 2-ホスホグリセリン酸 → ホスホエノールピルビン酸 → ピルビン酸ができる。

ピルビン酸は代謝の要の位置にあるといえ、ここからさまざまな代謝経路があるのだが、糖質の利用に関していえば、ミトコンドリアに入って完全に酸化されるのが第一である。

ここまでの反応でグルコース1つからピルビン酸が2つできる。またATPも2つできる。
※実際にはATPはここまで4つできるが、2つ使われるのでトータルで2つ

さらにNADHも2つできる。このNADHはミトコンドリアに入ればATPができる。

ただし、ピルビン酸までの反応はミトコンドリア内ではなく、細胞質で起こっている。

細胞質でできたNADHやピルビン酸がさらに利用されるには、ミトコンドリア内に移動することが必要である。

このような解糖系の経路は複雑で反応段階が多いように思われるが、脂質やたんぱく質に比べれば簡単である。急に反応量を増やすことができるのが特徴でもある。

したがって、運動開始などの急なエネルギー供給増加時に糖質を分解することになる。

PDHからミトコンドリアへ

糖質が分解されてピルビン酸になると、これをさらに分解するにはミトコンドリアに入る必要がある。

つまり、ここまでの反応は、細胞の中ではミトコンドリアなど小器官以外のスペースである細胞質で行われてきたが、これから後はミトコンドリアに入って行われることになる。

そしてまずピルビン酸脱水素酵素(PDH)によって、ピルビン酸がアセチルCoAとなる。

PDHも糖質の分解の中における鍵酵素の1つである。

この活性が高まればミトコンドリアでの糖質の利用が高まる。

アセチルCoAからは回路状の反応系に入り、クエン酸 → cis-アコニット酸 → イソクエン酸 → 2-オキソグルタル酸 → スクシニルCoA → コハク酸 → フマル酸 → リンゴ酸 → オキザロ酢酸 → クエン酸と反応が続いて元に戻る。

反応が回路状なので、この反応系をTCA回路もしくは、クエン酸回路もしくは、クレブス回路と呼ぶ。

これがミトコンドリアでATPが生み出される基本の反応経路である。

またこの反応そのものでATPができるのではなく、この反応でできた電子が受け渡されていく電子伝達系と呼ばれる反応系でATPが合成される。

この際にできる水素を受け取る働きに、酸素が必要になる。

つまり酸素がエネルギーを生み出すわけではなく、糖質や脂質が分解されてTCA回路の反応系に入り、それで生まれた電子を受け渡していく反応を進めていく過程に酸素が必要になり、それによってATPが産生される。

あくまでエネルギー=ATPは基本的には糖質や脂質を分解することで得られるものであり、酸素は最終段階での反応を進める働きをしている。

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