脂質代謝経路について解説してみる②
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
血液から筋肉へ
脂肪分解によってできた脂肪酸は、血液へ放出される。
脂肪酸は血液には溶けにくいので、血液中を運ばれる際には、アルブミンを主とするたんぱく質にくっついて運ばれる。
水に溶ける糖質は血液中を運ばれる際にも流れにのっていけばいい。
糖質と比較すれば、脂肪の方が運搬に手間がかかることになり、このことは脂肪の方が糖質より利用するのに手間がかかる1つの理由である。
脂肪酸は血液から筋肉に取り込まれる。
この時には、グルコースが筋肉に取り込まれる際に、グルコース輸送体が働くのと同様に脂肪酸の輸送体が働くことがわかる。
脂肪酸に輸送体としてはいろんな種類があり、特にCD36、FABPpmと呼ばれる輸送体が知られている。
この脂肪酸輸送体には、グルコース輸送体と同様の特徴があり、グルコース輸送体であるGLUT4は普段は中に引っ込んでいて、働くべき時だけ表面に移動することが知られている。
この仕組みが働かなくなることが、糖尿病の大きな原因である。
筋肉にある脂肪酸輸送体も働くべき時に移動していることになる。
グルコース輸送体がいつも細胞表面にあると、グルコースを取り込みすぎて、血中グルコース濃度が下がりすぎてしまうことになる。
同様に脂肪酸輸送体もいつも細胞表面にあって脂肪酸を取り込みすぎると筋肉内が脂肪で満たされることになってしまう。
そこで、どちらの輸送体も働くべき時にのみ働く仕組みがあると考えられる。
ここで、脂肪酸輸送体が一番働くべき時は、脂質を摂取した食後や、たくさん脂肪を利用することが必要な運動時である。その時に脂肪酸輸送体は、細胞膜に移動して働くことが考えられる。
また持久的トレーニングをすれば、脂肪酸輸送体の量も増える。筋肉を中心に脂肪をより利用できるようになることに、脂肪酸輸送体の量や機能が高まることも関係している。