ストレッチショートニングサイクル(SSC)のメカニズム

こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。

解剖学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。

少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。

腱の機能

筋肉による力発揮はいろいろな要素に分けることができます。
・収縮要素
・直列弾性要素
・並列弾性要素

腱は収縮要素がありません。

筋肉と骨をつなぐものではありますが、弾性要素としての役割があり、運動への影響は非常に大きいものであります。

外力によって張力を発生させながらバネのように伸張しながら弾性エネルギーを蓄えます。

その後、伸びたバネが縮むように短縮しながらエネルギーが生まれるのです。

例えば歩行やジャンプ動作では、筋肉の収縮だけでなく腱が伸張されることによって弾性エネルギーを生みだしています。

反動をつけたほうが高くジャンプできるのは、この腱の弾性エネルギーを利用しているからです。

SSC(伸張ー短縮サイクル)

ジャンプするとき、反動をつけないよりも反動をつけたほうが高く跳べますよね?

ジャンプする前のしゃがみ込む動作で、大腿四頭筋などの筋肉が引き伸ばされると同時に筋肉が収縮(伸張性収縮)して引き伸ばされることに耐えようとする。

その際に、腱が伸ばされて弾性エネルギーが蓄積されます。

しゃがみ込みから飛び上がる瞬間に、弾性エネルギーが解放されて筋肉の収縮力に加わることで、全体として大きな力を得ることができます。

ストレッチショートニングサイクル(SSC)とは、
筋肉内の受容器である筋紡錘の①伸張反射。
強く、速く伸張された腱の②弾性エネルギー。
これらの力により強く、速く動作する機能のこと。
※筋肉が力を出し始めてから最大筋力を発揮するまでには、わずかに時間はかかります。

ストレッチショートニングサイクルを利用したトレーニングをプライオメトリクスと呼びます。

①伸張反射

筋肉が急激に引き伸ばされると、筋肉内の感覚受容器である筋紡錘が筋肉の伸張の速度と長さを感知して反応します。

このとき発生した電気信号(活動電位)が、感覚神経を介して脊髄を経由し、運動神経が反応し筋肉が短縮しています。

この一連の作用を伸張反射と呼びます。

ストレッチショートニングサイクルによって、短時間に大きな力が発揮できる主なメカニズムであるとされています。

伸張反射による筋肉の短縮は、筋紡錘が感知する事前に筋肉の伸張速度が速いほど大きくなります。

これは、筋肉の損傷などの危険を回避するための制御機能であると考えられています。

②弾性エネルギー

筋肉と腱が相互に機能し合うことから、筋腱複合体といいます。

腱は筋肉と骨をつなぎ、筋肉が収縮すると腱が引っ張られて関節の動きが発生します。

筋肉が強く収縮して大きな力を出すと、筋肉は腱よりも硬くなり、引き伸ばされた腱はバネのようなエネルギーが生まれます。

伸張性収縮を行ったとき、腱には弾性エネルギーが蓄積され、続いて行われる短縮性収縮で、蓄積された弾性エネルギーが生み出されます。

③予備緊張

筋肉が引き伸ばされる前に、あらかじめ力を発揮することを予備緊張といいます。

予備緊張により、動作時に素早く大きな力を発揮することができます。

予備緊張があると筋肉の伸張を最小限に抑えるため、トレーニングを積んだ競技者は無意識にタイミングよく予備緊張を行っていると考えられます。

④ゴルジ腱反射

腱の中の感覚受容器をゴルジ腱器官といいます。

ゴルジ腱器官は、腱の伸張の力を感知して反応してくれます。

このとき発生した電気信号(活動電位)が、感覚神経を介して脊髄を経由し、運動神経を抑制することで筋力発揮を低下させてくれるのです。

これをゴルジ腱反射といいます。

腱が急激に引き伸ばされると、腱自体の損傷を防ぐために筋肉を弛緩させようとする働きです。

ジャンプの着地時に膝の力が抜けてしまう現象は、主としてゴルジ腱反射の作用によるものだといわれています。

ストレッチショートニングサイクルにおいては、ゴルジ腱反射による筋力発揮の抑制作用を、中枢神経が制御する働きが生まれ、伸張性収縮後に動作を切り返して短縮性収縮を行った時、筋力低下を防ぐことができると考えられています。

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