タウリンは疲労に効く?運動後の回復を助けるメカニズムを解説
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上裕司です。
このブログは、パーソナルトレーナー・医療従事者・専門的に学びたい方を対象とした内容を発信しています。
~運動後のエネルギー代謝と「自由運動量」の変化から考える~
「タウリン〇〇mg配合!」――栄養ドリンクなどでおなじみのこの成分、本当に疲労に効くのでしょうか?
実は、タウリンの抗疲労効果やエネルギー代謝への影響については、すべてが解明されているわけではありません。
そこで今回は、運動後にタウリンを摂取したときのエネルギー代謝と身体の動きについて調べた研究をもとに、タウリンの可能性をわかりやすくご紹介します。

✅タウリンってどんな成分?
アミノ酸に似た構造を持つ、体内でさまざまな働きをする物質です。
水に非常によく溶ける性質を持ち、細胞内外の「浸透圧の調整」や「カルシウム代謝」に関与します。
特に筋肉の収縮やエネルギー代謝に関係が深いと考えられています。
ちなみに、タウリンは近海の魚介類(イカやタコ、サザエなど)に豊富に含まれています。
🧪運動後のタウリン摂取が与える影響を調査!
▶ 実験内容(マウスを使用)
時速25mの速さで90分間トレッドミル走行を行わせた
運動直後に
・A群:タウリンを投与
・B群:生理食塩水を投与
その後、回転ゲージに入れて、自由に餌を食べさせながら自由運動をさせた
運動後6時間までの「自由運動量(どれくらい自発的に動くか)」を測定
🔍結果:タウリンで疲れにくくなった?
・生理食塩水を与えたマウスは、運動後の自由運動量が低下(=疲れてあまり動かなくなった)
・一方、タウリンを与えたマウスは運動量の低下が見られず、元気に動き続けた
つまり、タウリンは運動後の疲労による活動量の低下を防ぐ働きがあると考えられます。
なお、エサの摂取量には差がなかったため、「よく食べたから元気だった」というわけではなさそうです。
💡では、エネルギーはどこから来たの?
運動後にたくさん動いたタウリン投与群のマウスでは、より多くのグリコーゲン(筋肉や肝臓に貯蔵された糖)を使っているはずと予想されました。
しかし、実際に測定してみると――
▶ 筋肉や肝臓のグリコーゲン濃度に有意差は見られなかった
これはちょっと不思議ですね。
🤔考察:タウリンは脂質代謝にも関係?
この結果から次の2つの可能性が示唆されました:
- タウリンがグリコーゲンの回復を早めている(使ってもすぐ補充できる)
- タウリン投与によって、運動後の自由運動では脂質(脂肪)をより利用している
つまり、タウリンは糖質だけでなく脂質の代謝にも関与している可能性がある、ということです。
✅まとめ:タウリンは「疲労を抑える」可能性がある!
・タウリンは、運動後の疲労による「活動低下」を防ぐ働きがある
・グリコーゲン消費量に差がないため、脂質代謝や回復スピードへの影響が考えられる
・明確なメカニズムはまだ解明途中だが、抗疲労成分としての効果は期待されている
💬補足アドバイス
タウリンはあくまで食事や運動、休養と組み合わせて活用するべき成分です。
ドリンクに頼るだけでなく、イカやタコなどの魚介類をうまく取り入れるのも疲労対策の一つですね!
※本記事は、NSCA-CPT(全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)の資格を有する講師によって、科学的根拠と実務経験に基づいて執筆されています。