【肩の痛みやしびれの原因に?】肩まわりの神経と血管のしくみ

こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。

肩の痛みや違和感、しびれの原因が「筋肉の使いすぎ」だけだと思っていませんか?
実は神経や血管の通り道も関係していることがあります。

今回は、肩まわりの神経や血管の流れ、そして痛みとの関係についてわかりやすく解説します。

神経の支配:肩は“腕神経叢”でコントロールされている

肩まわりや上肢(腕)の筋肉は、主に腕神経叢(わんしんけいそう)という神経の束によって支配されています。
この神経は首のあたり(頚椎)から出て、肩から腕へと広がっています。

ただし、僧帽筋(そうぼうきん)だけは例外で、「副神経」と「頸神経叢の枝」から支配を受けています。

さらに多くの神経は、運動神経だけでなく感覚神経も含んでいるため、筋肉を動かすだけでなく、皮膚の感覚も担っています。

血管の流れ:鎖骨下動脈 → 腋窩動脈 → 上腕動脈へ

肩や腕の筋肉に酸素や栄養を届ける血液は、主に以下のルートを通って流れます:

  1. 鎖骨下動脈
     前斜角筋と中斜角筋の間を通り、第一肋骨の上を通過。
  2. 腋窩動脈(わきの下で名前が変わる)
     ここからさらに細かく枝分かれして、胸筋や三角筋、肩甲骨周囲の筋肉へ血液を届けます。

主な枝分かれ

肩甲上動脈:棘上筋・棘下筋へ

肩甲回旋動脈:内側腋窩隙を通り、棘下筋や肩甲下筋へ

後上腕回旋動脈:外側腋窩隙を通り、三角筋などへ

肩の痛みの原因にもなる“神経の圧迫”

肩甲上神経の絞扼障害(けんこうじょうしんけいのこうやくしょうがい)

肩甲上神経は、「肩甲切痕」というくぼみを通って、棘上筋・棘下筋を支配しています。

しかし、肩関節の激しい回旋運動が繰り返されることで、この神経が周囲の靭帯や筋腱との間で圧迫されることがあります。
これを「肩甲上神経絞扼障害」といいます。

スポーツ選手に多い障害

特に多いのが、バレーボールのスパイクや野球の投球といった動作。
これらは肩の深部に強いストレスがかかり、肩甲上神経の棘下筋への枝が傷つく可能性があります。

結果として、

・棘上筋・棘下筋の筋力低下

・肩の後ろの痛み

・回旋動作の違和感

などが生じることがあります。

内側腋窩隙と外側腋窩隙:神経と血管の通り道

内側腋窩隙(ないそくえきかくう)

構成筋:大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭

通るもの:肩甲回旋動脈・静脈

供給先:棘下筋、肩甲下筋

外側腋窩隙(がいそくえきかくう)

構成筋:大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭、上腕骨

通るもの:後上腕回旋動脈・静脈、腋窩神経

供給先:三角筋、関節包など

腋窩神経の役割

外側腋窩隙を通った腋窩神経は、三角筋や小円筋を動かす神経です。
さらに、上腕外側の皮膚の感覚にも関係しています(上外側上腕皮神経)。

血管・神経の通り道が“筋肉”により圧迫されることも

大円筋、小円筋、上腕三頭筋長頭などに筋スパズムや柔軟性の低下が起こると、これらの神経・血管の通り道が圧迫されることがあります。

結果として、

・三角筋周囲の深い痛み

・関節を動かしたときの違和感や鈍痛

といった症状が出る場合があります。

まとめ:肩を守るには、筋肉の“柔らかさ”も大切

肩関節の安定性や自由な動きには、神経や血管の健康も不可欠です。
そのためには、筋肉の柔軟性とバランスの取れたトレーニングがとても重要。

特に、大円筋・小円筋・上腕三頭筋長頭といった“隙間を構成する筋肉”は、意外と見落とされがちです。
これらの筋肉を意識的にストレッチしたり、リリースすることで、神経圧迫や肩の痛みを未然に防ぐことができます。

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