果糖による乳酸の上昇を解説!安静時でも乳酸はでる?
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。
生理学の基本的な知識は、すべての運動指導者にとって必要な科目です。
少しでも参考になればと思いますので、是非ご覧ください。
乳酸脱水素酵素による乳酸
乳酸は無酸素状態で産生されるものという認識をしている方いらっしゃいますでしょうか?
酸素でエネルギーを生み出す必要がない状態であれば、酸素は必要ないのでピルビン酸は乳酸に変わる。
生理学を勉強すると、強度が高いと無酸素状態で運動している。こういう考え方で覚えてしまう可能性があると思います。
ただ、現実問題体内に酸素があります。
安静にしている時でも、運動している時でも、強度が高い運動をしている時でも、、、
運動している時に体内が無酸素状態になることはありません。
全力ダッシュしている時や、筋トレしている時など、高強度の運動時でも呼吸していますよね?
酸素を一生懸命取り込んでいますよね?
安静時状態ですら30秒息を止めればだいぶ苦しくなるのに、30秒全力で走りながら息を止める方が、はるかに苦しくなると思います。安静時の何倍も代謝が上がった状態では、もっと一生懸命呼吸をすると思います。
運動時に、筋肉内に酸素がないという状態がありえないのです。
運動時にたくさんの乳酸ができるようになるのは、酸素がないからではなく糖質の分解が増えるからなのです。
例えば、果糖を摂取した後の血中乳酸濃度の変化を見てみると、50g程度の果糖を摂取すると、その後に血中乳酸濃度の上昇が少し起こる。
あくまでこれは安静時であって、運動していなのに。高強度の運動をしていないのになぜか乳酸が少し分泌したのです。
人間だけではなく、ラットの実験でも同様に果糖を摂取することで、血中乳酸濃度が上昇するらしい、、、
ではなぜ果糖を摂取して安静にしている体内で、血中乳酸濃度が上昇するのはなぜでしょうか?
安静時に果糖を摂取しているので、体内が無酸素状態になるとは考えられません。安静時は酸化機構で酸素を利用し活動しているのだから。
つまり、酸素はあるのに乳酸が産生されたという状態。
果糖はブドウ糖よりも吸収がはやいです。
そして果糖の代謝経路は最初はブドウ糖とは別の経路ではあるが、ブドウ糖とグリコーゲンの分解経路の途中から合流してきます。
なので、果糖を清涼飲料水やジュースなどで一度にたくさん飲むと、糖質の分解が急激に高まる状況ができます。
分解されてきた糖質を酸化機構のミトコンドリアでエネルギーを作る反応は、安静にしている状態なので、運動量が増えないかぎり、エネルギーの産生も増えることはありません。
果糖を摂取し、糖質の量が増えたのにも関わらず、酸化機構に変化はないとしたら、その分糖質が余る状態になってしまう。具体的に言えば、ブドウ糖からやがてピルビン酸になり、そのピルビン酸が余ってしまうということです。
本来、このピルビン酸は酸化機構のミトコンドリア内に入るか、乳酸に変わっていくかであるが、酸化機構に変化はないので、この状態だとどうなってしまうのか?
ピルビン酸はあまり貯蔵できないので、余った分は乳酸脱水素酵素により乳酸となってしまうのです。
これで安静状態でも乳酸が産生するという説明ができましたね。
このように糖質の量が、酸化機構の反応量以上に増えれば、その差が乳酸となってしまうのでした。