「個人の感想です」は信じるな!疲労回復と健康情報を見抜くメディアリテラシー

こんにちは!

パーソナルトレーナーの井上裕司です。

このブログは、パーソナルトレーナー・医療従事者・専門的に学びたい方を対象とした内容を発信しています。

「クエン酸で乳酸を分解して疲労回復!」「ビタミンB1で疲れ知らずの体に!」
こういったキャッチコピー、聞いたことありませんか?

確かに、クエン酸やビタミンB1は体内の代謝に関与する成分ですが、「乳酸=疲労の原因」「乳酸を除けば疲労回復」という理屈には、大きな誤解が潜んでいます。

クエン酸やビタミンB1は、乳酸を消してくれるのか?

よく言われるのは、「運動でたまった乳酸をクエン酸が分解して疲労を取る」「ビタミンB1が糖質の代謝を促して、疲れにくくなる」といった話です。

ですが、実際には数グラム程度のクエン酸摂取では、運動中や運動後の乳酸の代謝に明確な影響はありません。
また、ビタミンB1に関しても、血中乳酸濃度を下げたり、疲労を劇的に回復させるという科学的根拠は不十分です。

「乳酸=悪者」は古い考え方

かつては「乳酸が疲労の原因」と広く信じられていましたが、現在ではその説は否定されています。
乳酸はむしろ、運動中のエネルギー源としても利用される物質であり、「乳酸が疲労を引き起こす」という単純な話ではありません。

日常生活の中では、激しい運動をしない限り、乳酸が多く産生されることはそもそも少ないのです。
それにもかかわらず、「日常の疲労の原因=乳酸」とし、「乳酸を減らす○○成分で疲労回復!」というストーリーが未だに流布しています。

「食品成分=即効果」には注意

確かに、クエン酸は梅干しや柑橘類、ビタミンB1は豚肉やうなぎなどに含まれており、昔から親しまれてきた食品です。
ですが、これらが「乳酸を分解して疲労を取る」と断定するのは、根拠としてはかなり弱いと言わざるを得ません。

それに、もし本当に「ある成分を摂るだけで劇的に疲労が取れる」なら、現代人はこんなに疲れていないはずですよね?

「個人の感想です」は「あなたには効かないかも」のサイン

健康食品やサプリメントの広告によくある「これは個人の感想です」という一言。
これは裏を返せば、「効果は保証されません」「あなたに効くとは限りません」ということです。

また、「飲むだけで脂肪が燃える」「寝ている間に痩せる」といった誇張広告も依然として見かけます。
しかし、何年もかけて蓄積した体脂肪が、数週間のサプリで落ちることなど現実的ではありません。

健康情報の「正義と悪」に要注意

よくある手口に、「悪者」と「正義の味方」を作る方法があります。

「乳酸が悪」「クエン酸が解決!」

「活性酸素が老化の原因」「抗酸化物質で若返り!」

「糖質が悪」「低糖質食品で健康に!」

このように問題を単純化して、一つの成分や食品で解決できるかのように見せる情報は、とてもキャッチーですが、多くが科学的には不正確です。

情報を見極める「メディアリテラシー」を忘れずに

健康に関する情報は、テレビ、ネット、SNS、雑誌…さまざまなメディアで日々発信されています。
ですが、それをすべて鵜呑みにするのは危険です。

「驚きの新事実!」といった宣伝文句には特に注意しましょう。
そして、それが本当に信頼できる情報か、自分の頭で冷静に判断する姿勢が求められます。

このように、情報を選び取る力のことを「メディアリテラシー」といいます。
健康情報に振り回されず、自分で考え、取捨選択する姿勢こそが、最も確かな“健康習慣”なのです。

まとめ:疲労や健康に「即効性」を求めすぎない

・クエン酸やビタミンB1には代謝を助ける役割はあるが、乳酸除去による疲労回復は根拠が薄い

・「乳酸=疲労の原因」はすでに古い考え方

・情報をうのみにせず、冷静に選び取る「メディアリテラシー」が大切

・食品やサプリだけで劇的に健康になることは、基本的にない

過剰な健康情報に惑わされず、正しい知識と習慣をコツコツ積み重ねることが、結果的にもっとも確実な“健康への近道”なのです。

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