【保存版】肘関節の骨と関節の種類を簡単に解説|ヒューター線やキャリーアングルとは?

こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上裕司です。

今回は、肘関節に関わる骨の構造や関節の種類、動きの特徴(回内・回外、屈曲・伸展)について、専門知識がなくても理解できるようにまとめました。

肘関節をつくる骨とは?

肘関節は、次の3つの骨で構成されています。

・上腕骨(じょうわんこつ):腕の上部の骨

・橈骨(とうこつ):前腕の親指側の骨

・尺骨(しゃっこつ):前腕の小指側の骨

上腕骨の特徴

上腕骨の肘に近い部分(遠位部)は横に広がっており、内側上顆(ないそくじょうか)と外側上顆(がいそくじょうか)という出っ張りがあります。

内側には上腕骨滑車(かっしゃ)があり、尺骨と関節します。

外側には上腕骨小頭(しょうとう)があり、橈骨と関節します。

肘を深く曲げたとき、橈骨頭がはまり込む「橈骨窩(とうこつか)」というくぼみもあります。

肘を完全に伸ばしたときには、尺骨の肘頭(ちゅうとう)が、上腕骨の肘頭窩(ちゅうとうか)にはまり込みます。

橈骨・尺骨の構造

橈骨(とうこつ)

肘に近い端の丸い部分は「橈骨頭」

そのすぐ下の細くなった部分は「橈骨頸」

周囲には「関節環状面」という軟骨面があり、滑らかに回転する構造になっています

尺骨(しゃっこつ)

尺骨の上部には「滑車切痕(かっしゃせっこん)」があり、上腕骨の滑車と関節します

橈骨と接する部分には「橈骨切痕(とうこつせっこん)」があります

肘関節の種類と動き

肘関節は、以下の3つの関節で構成されています。

①腕尺関節(わんしゃくかんせつ)

上腕骨の滑車と、尺骨の滑車切痕で構成

蝶番関節(ちょうつがいのような動き)

肘の屈曲(曲げる)と伸展(伸ばす)を担います

非常に安定した関節構造です

②腕橈関節(わんとうかんせつ)

上腕骨小頭と、橈骨の橈骨頭で構成

球関節の形をしていますが、自由な回転は制限されており、主に肘の屈伸や回内・回外運動に連動して動きます

③近位橈尺関節(きんいとうしゃくかんせつ)

橈骨の関節環状面と、尺骨の橈骨切痕で構成

車軸関節で、前腕の回内・回外運動(手のひらの向きを変える動き)に関与

なお、前腕の近位橈尺関節と遠位橈尺関節は連動して動き、橈骨が尺骨を軸にして回ることで回内・回外が可能になります。

肘の角度を見る「ヒューター線」と「ヒューター三角」

ヒューター線

肘を伸ばした状態で、

・内側上顆

・外側上顆

・肘頭(ちゅうとう)

この3点が一直線に並びます。これを「ヒューター線」と呼びます。

ヒューター三角

肘を90°ほど曲げると、同じ3点が二等辺三角形を描くようになります。これが「ヒューター三角」です。

この位置関係は、肘の整形外科的な診断や触診の目安として非常に重要です。

肘の運搬角(キャリーアングル)とは?

肘を伸ばして手のひらを上にした状態(前腕回外位)で、腕を体の横にまっすぐ下ろすと、前腕が少し外側に開いていることがわかります。

この前腕の外への傾き(肘の外反)を「運搬角(キャリーアングル)」と呼びます。

男性:約11~14°

女性:約13~16°(やや大きめ)

この角度があることで、歩行時に腕が体にぶつかりにくくなるなどの利点があります。

肘関節の安定性とわずかな可動性

肘関節は非常に複雑な構造をもち、基本的には安定した関節ですが、完全に固定された関節ではありません。

肘関節には3~4°ほどのわずかな内反・外反運動も起こります

このような軽度の動きを「弛緩性(しかんせい)」と呼び、日常動作に柔軟に対応する役割を担っています

まとめ|肘関節の構造を知ることは、ケガの予防やトレーニングにも役立つ

肘関節は、上腕骨・橈骨・尺骨の3本の骨と、3種類の関節から成り立っており、複雑で緻密な構造をしています。

関節の形状や骨同士のかみ合わせ、角度の違いが、私たちのスムーズな動作やスポーツ動作を支えているのです。

構造を知っておくことで、ケガの予防、リハビリ、筋トレにおけるフォームの理解などにもつながります。

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