【保存版】肘関節の骨と関節の種類を簡単に解説|ヒューター線やキャリーアングルとは?

解剖学
2026年1月
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こんにちは!
トレーナー育成講師の井上裕司です。

「肘(ひじ)」の精巧なメカニズム:骨の構造から動きの秘密まで徹底解説

肘関節は、肩と手首をつなぐ「中継地点」として、非常に複雑かつ緻密な構造をしています。腕を曲げ伸ばしするだけでなく、手のひらを表裏に返す動きができるのは、3つの骨と3つの関節が絶妙に組み合わさっているからです。

今回は、肘関節の骨格構造、関節の種類、そして動きの特徴について分かりやすくまとめました。

1. 肘関節を構成する3つの骨

肘関節は、以下の3本の骨によって形作られています。

  • 上腕骨(じょうわんこつ):肩から肘までをつなぐ腕の上部の骨。
  • 橈骨(とうこつ):前腕の親指側にある骨。
  • 尺骨(しゃっこつ):前腕の小指側にある骨。

2. 上腕骨遠位部(肘側)の特徴

上腕骨の肘に近い部分は、横に広がり複雑な起伏を持っています。

  • 内側上顆・外側上顆:肘の内外にある出っ張り。多くの筋肉の起点となります。
  • 上腕骨滑車(かっしゃ):内側にあり、尺骨とがっちり噛み合います。
  • 上腕骨小頭(しょうとう):外側にあり、橈骨の頭部と接します。
  • 「はまり込み」を支えるくぼみ
    • 肘を深く曲げた時、橈骨が収まる「橈骨窩(とうこつか)」。
    • 肘を伸ばし切った時、尺骨の「肘頭(いわゆる肘の先端)」が収まる「肘頭窩(ちゅうとうか)」。この構造があるおかげで、肘は一定以上は伸びない(ロックされる)仕組みになっています。

3. 前腕(橈骨・尺骨)の構造

  • 橈骨(とうこつ):先端が車輪のように丸い「橈骨頭」になっており、その周囲は軟骨で覆われ、滑らかに回転できるようになっています。
  • 尺骨(しゃっこつ):上部に深いレンチのような形の「滑車切痕(せっこん)」があり、上腕骨を包み込むように連結して、関節の安定性を高めています。

4. 3つの関節とその役割

肘関節は、ひとつの関節包の中に「3つの関節」が同居している複関節です。

  1. 腕尺(わんしゃく)関節:【蝶番(ちょうつがい)関節】
    上腕骨と尺骨の連結。ドアの蝶番のように「屈曲(曲げる)」と「伸展(伸ばす)」の動きを担う、肘のメインエンジンです。
  2. 腕橈(わんとう)関節:【球(きゅう)関節】
    上腕骨と橈骨の連結。構造上は自由に動けそうですが、尺骨との兼ね合いで、実際には屈伸と回旋(ひねり)の動きに限定されます。
  3. 近位橈尺(きんいとうしゃく)関節:【車軸(しゃじゅく)関節】
    橈骨と尺骨の連結。橈骨が車軸のように回転することで、回内(手のひらを下に向ける)・回外(手のひらを上に向ける)の動きを可能にします。

5. 臨床的にも重要な指標:「ヒューター線」と「ヒューター三角」

肘の変形や脱臼、骨折を診断する際、以下の位置関係を確認します。

  • ヒューター線:肘をピンと伸ばしたとき、内側上顆・外側上顆・肘頭の3点が一直線上に並びます。
  • ヒューター三角:肘を90°曲げたとき、この3点が二等辺三角形を作ります。
    もしこのバランスが崩れている場合、骨の位置に異常がある可能性が疑われます。

6. 肘の運搬角(キャリーアングル)

手のひらを前に向けて腕を垂らすと、前腕がわずかに外側に傾いています。これを運搬角(キャリーアングル/生理的外反)と呼びます。

  • 男性:約10~15°
  • 女性:約15~20°(女性の方が角度が大きく、外側に開いている傾向があります)
    この角度のおかげで、荷物を持ったまま歩いても太ももに荷物が当たりにくいようになっています。

7. 安定性の中にある「遊び」

肘関節は非常に安定した関節ですが、完全に「あそび」がないわけではありません。肘が完全に伸びる直前や曲がる手前では、3~4°ほどのわずかな横揺れ(内反・外反)が起こります。このわずかな「弛緩性(関節の遊び)」が、外部からの衝撃を逃がし、柔軟な動作を可能にしています。

まとめ|構造を知れば、ケアが変わる

肘関節は、3本の骨と3つの関節が調和することで、パワフルな屈伸と繊細な回旋を両立させています。
この構造を理解しておくことは、スポーツにおける肘の故障(テニス肘や野球肘など)の予防や、効果的なリハビリテーション、あるいはトレーニング効率の向上に大きく役立つはずです。

※本記事は、新R25に掲載された実績を持ち、トレーナー養成スクールの講師としても活動する井上裕司が監修しています。
健康・栄養・トレーニングに関する一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断や治療を目的としたものではありません。
体調や症状に不安がある方は、必ず医師や専門の医療機関にご相談ください。

【引用文献】

  • Kapandji, A. I. (2007). The Physiology of the Joints: Volume 1 Upper Limb. Churchill Livingstone. (関節生理学の世界的名著)
  • Moore, K. L., et al. (2013). Clinically Oriented Anatomy. Lippincott Williams & Wilkins. (臨床解剖学の標準的教科書)
  • 標準整形外科学(医学書院): ヒューター線や運搬角の臨床的意義。
  • プロメテウス解剖学アトラス(医学書院): 肘関節の構造と複関節についての詳細。

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著者
トレーナー育成講師

運動 × 栄養 × 体づくりの専門家
ブログ記事200本以上を執筆し、
正しい知識をわかりやすく発信中。

保有資格
・NESTA-PFT
・NSCA-CPT

経歴・活動
・Core&Calm(コアカーム)パーソナルジム経営
・パーソナルトレーナー
・リラクゼーションセラピスト
・トレーナー養成スクール講師
・トレーナーアカデミー講師
(年間500回以上の講義)
・転職キャリアアドバイザー

実績
・トレーナー300名以上育成
・SNS総フォロワー数 20,000人以上
・新R25に掲載実績あり
https://r25.jp/articles/928885030159646720

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