脚気の原因だったビタミンB1不足、現代人でも起こるって本当?
こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上裕司です。
このブログは、パーソナルトレーナー・医療従事者・専門的に学びたい方を対象とした内容を発信しています。
~脚気の歴史から現代の栄養事情まで~
「疲れにビタミンB1が効く」――こうしたフレーズは、栄養ドリンクやサプリの広告などでよく見かけますよね。
ビタミンB1(チアミン)は、昔から疲労に効果がある成分として知られてきました。
でも実は、その「疲労への効果」がどのようなメカニズムで現れるのか、すべてが明らかになっているわけではありません。

✅ビタミンB1とは?
ビタミンB1は、水に溶ける水溶性ビタミンの一種で、主に糖質の代謝に深く関わっています。
つまり、食事で摂った炭水化物をエネルギーに変えるために欠かせない栄養素です。
⚠️ビタミンB1が不足するとどうなる?
ビタミンB1の欠乏症として有名なのが脚気(かっけ)です。
これは、手足のしびれやむくみ、心不全などを引き起こす深刻な状態です。
▶ 歴史に学ぶ「ビタミンB1欠乏」の例
日露戦争のころ、日本陸軍では白米ばかりを食べていたため、ビタミンB1が不足し、多くの兵士が脚気になりました。
一方、パン食中心だった海軍では脚気の発症率が少なかったことが記録に残っています。
🧠脳と神経にも影響する
ビタミンB1は脳や神経のエネルギー代謝にも重要です。
不足すると、糖質がうまく利用されず、神経系の不調を起こすことがあります。
重症の場合には「ウェルニッケ脳症」といわれる深刻な神経障害につながることもあります。
✅ビタミンB1を摂れば症状は改善する
当然ながら、ビタミンB1が欠乏している状態でビタミンB1を補えば、脚気や神経症状などは改善されます。
こうした欠乏→補給→回復という関係性は、多くのビタミン研究で共通して見られます。
(例:ビタミンCの欠乏で起きる壊血病など)
🤔では「十分摂っている人」がさらに摂ったら?
ここで疑問が出てきます。
「ビタミンB1は足りているけど、もっと摂ったら元気になるの?」という点です。
実はこれについては、はっきりとしたエビデンス(証拠)がまだ十分とはいえません。
通常の食生活で必要量を満たしている人にとって、ビタミンB1を多く摂ることがどこまで効果的かは、研究によって意見が分かれるのです。
🍚現代の食生活で不足することはある?
基本的に、現代のバランスの良い食生活を送っていれば、ビタミンB1が極端に不足することは少ないといわれています。
しかし、下記のようなケースでは注意が必要です:
・炭水化物ばかり食べる偏った食事
・アルコールの過剰摂取
・加工食品ばかりの生活
・高齢者や消化吸収の問題がある人
こういった場合は、ビタミンB1が不足しやすくなり、疲れやすさや集中力の低下などの症状が出ることも考えられます。
📝まとめ
・ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるために重要
・不足すると、脚気や神経のトラブル、疲労感を引き起こす
・ただし、必要量を満たしている人がさらに大量に摂っても効果があるとは限らない
・偏った食事や過度な飲酒には注意!
💡一言アドバイス
「疲れやすいな」と感じたときは、ただサプリに頼るのではなく、まず食事のバランスを見直すことが大切です。
※本記事は、NSCA-CPT(全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)の資格を有する講師によって、科学的根拠と実務経験に基づいて執筆されています。