【肩甲骨運動異常とは?】肩の痛み・違和感の正体とSICK症候群・インピンジメントの関係

こんにちは!
パーソナルトレーナーの井上です。

「なんとなく肩が重い」「腕を上げると痛い」「四十肩・五十肩かも…?」

こうした肩の不調、実は“肩甲骨の動きの乱れ”が関係しているかもしれません。

肩甲骨は、肩の可動域や安定性を支える重要な骨のひとつ。ですが、日常の姿勢や運動不足、筋力のアンバランスなどでその動きが乱れると、肩関節に大きな負担がかかり、痛みや違和感の原因になります。

特にスポーツをしている人や、デスクワーク・育児・家事などで肩や腕をよく使う人は要注意。

このブログでは、そんな「肩甲骨運動異常」について、医学的な知識をもとに、わかりやすく丁寧に解説していきます。

なぜ肩甲骨の動きが大切なのか?

痛みの原因になるSICK症候群やインピンジメントとは?

どんな筋肉のバランスが関係しているのか?

肩の不調に悩むあなたが、自分の身体の仕組みを理解し、改善への一歩を踏み出せる内容になっています。

▶肩甲骨運動異常とは?

肩甲骨運動異常とは、肩甲骨の動きが正常にコントロールできない状態を指します。

肩甲骨は、腕の動きをスムーズにするために、胸郭(肋骨)に沿って滑らかに動く必要があります。しかし、何らかの原因でこの動きが乱れると、肩の痛みや可動域の制限が起こりやすくなります。

▶主な原因

肩甲骨の動きに影響を与える原因は、以下のように多岐にわたります:

・胸椎(背骨)の丸まり(後弯)

・肩鎖関節のゆるみ

・変形性肩関節症

・神経障害、筋肉の硬さ(拘縮)など

このような問題が起きると、肩甲骨が不自然な位置に固定されたり、正常なタイミングで動かなくなってしまいます。

▶よく見られる肩甲骨の異常な動き

以下のような動きは、肩甲骨運動異常のサインとされます:

・肩甲骨の内側縁(背中側の縁)や下角(下の角)が飛び出す

・腕を上げる際、早い段階で肩甲骨が過剰に動く(本来より早く挙上する)

・腕を下ろすとき、肩甲骨が早すぎるタイミングで下方回旋してしまう

このような異常は、肩や腕の痛み・違和感・動きの制限を引き起こします。

▶SICK症候群:肩甲骨の位置異常に注目

SICK症候群とは、肩甲骨の動きや位置の異常が、肩の障害につながるとされる状態のことです。
SICKは以下の4つの特徴を持ちます。

① 肩甲骨の左右差

腕を下ろした状態で、患側(痛みのある方)の肩甲骨が健側よりも低い位置にあります。

② 肩甲骨の内側縁の突出

背中側から見ると、肩甲骨全体が前に傾き内側に回っており、下部の内側縁が飛び出しています。

③ 烏口突起(うこうとっき)の痛み

胸の前側にある骨の突起「烏口突起」に強い痛みが出る場合があります。
これは、小胸筋という筋肉の短縮によって烏口突起が引き下げられ、圧痛が生じやすくなるためです。

④ 肩甲骨の異常な運動

筋力や柔軟性のアンバランスにより、正常な動きが崩れます。
主に以下が関係します:

小胸筋・大胸筋の柔軟性低下

僧帽筋下部・前鋸筋(ぜんきょきん)の筋力低下

僧帽筋上部・菱形筋(りょうけいきん)の活動過多や不全

腱板損傷や肩峰下インピンジメント症候群

▶肩峰下インピンジメント症候群とは?

肩峰下インピンジメントとは、肩の腱が骨に挟まり、擦れて炎症や痛みを起こす状態です。

特に、腕を横から上げていく70〜120°の間で痛みが出るのが特徴です。

原因は大きく2種類あります:

・構造的(器質的)な原因:肩峰(肩の骨)の形の異常や、腱板断裂など

・機能的な原因:肩甲骨の動きが悪くなることで、腱が骨にぶつかりやすくなる

肩の腱(腱板)は、腕の骨(上腕骨頭)を正しい位置に保つ役割がありますが、腱板がうまく働かないと骨頭が上方にずれやすくなり、インピンジメントが起きやすくなるのです。

▶肩甲骨運動と筋肉のアンバランス

インピンジメントや腱板損傷があると、肩甲骨を支える筋肉のバランスが崩れることが多く見られます。

✅ 前鋸筋・僧帽筋下部の活動が低下

✅ 僧帽筋上部の活動が増加

✅ 肩甲骨の後傾や上方回旋が減少し、内旋が増える

このような変化により、「肩甲上腕リズム」と呼ばれる肩甲骨と腕の連携した動きが乱れ、肩甲上腕関節(腕の骨と肩甲骨の関節)に過度な負担がかかります。

その結果、インピンジメントのリスクがさらに高まるという悪循環に陥ってしまうのです。

▶まとめ:肩の不調の裏に「肩甲骨の動きの乱れ」があるかも?

肩の痛みや挙上時の違和感には、肩甲骨の動きの異常が隠れていることが多いです。

特に以下のような症状がある方は注意が必要です:

・腕を上げるときに肩甲骨が異常に動く

・腕を下ろすときに肩甲骨が先に動いてしまう

・肩の前側や背中側に局所的な痛みがある

・腕を上げる途中で強い痛みを感じる(70〜120°あたり)

こうした肩甲骨運動異常は、筋力・柔軟性・姿勢・神経の働きなどの複合的な要素で起こるため、専門的な評価とケアが重要です。

正しい肩甲骨の動きを取り戻すことで、痛みの軽減や運動パフォーマンスの改善が期待できます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA